本レポートにおいては、観光産業における以下の4つの政府の取組を取り上げます。
(1)観光DX(デジタルトランスフォーメーション)
(2)インバウンド観光促進のための対外発信強化
(3)訪日外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
(4)多言語対応
日本のインバウンド市場は著しく成長しており、2019年の訪日外国人旅行者数は、過去最高となる3,188万人(前年比2.2%増)となり、7年連続で過去最高を更新しました(図表1)。同年の国際観光収入では、訪日観光客から461億米ドルを獲得し、ドイツ、オーストラリアを抜いて世界第 7 位に順位を上げています。また、旅行・観光分野で3590億米ドルが日本のGDPに寄与されており、この額は同分野において、米国、中国に次いで、世界第3位の市場規模を誇っています。
このインバウンド市場の成長要因としては、観光を日本の成長戦略の柱と位置付け、ビザ緩和や訪日外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充等の政府の取り組みに加え、航空・鉄道・港湾等の交通ネットワークの充実や多言語表記をはじめとする受入環境整備、インバウンドに関連したプロモーション等の民間努力があったと考えられています。
世界経済フォーラム(WEF)が隔年で実施する「旅行・観光競争力調査」の2019年度版では、旅行・観光の競争力を測る14分野の内、「安全・安心」、「保健衛生」、「ICT活用」、「陸上交通と港湾インフラ」、及び「文化資源とビジネス旅行」において高評価を得て、スペイン、フランス、ドイツに次いで、世界第4位でした。こうした結果からも、日本が観光地として国際的に認知され、高く評価されていることが確認できます。
2020年は東京オリンピック・パラリンピック(2021年に延期予定)、さらに2025年には大阪万博の開催が予定され、訪日観光客のさらなる増加が期待されていました。しかし、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の世界的な拡大により、インバウンド観光需要は大きく減少しています。特に地域経済に大きな影響が生じており、観光が地域経済にとって重要な役割を果たしてきたことが改めて示されました。
一方で、2019年の日本の旅行市場規模全体(27.9兆円)の内、インバウンド市場はまだ2割弱で成長過程にあるのに対し、国内在住者による国内旅行は8割近くを占めています(図表2)。そのため、新型コロナの感染状況を踏まえ、感染防止策を前提としながら、先ずは国内在住者による国内旅行需要の回復に期待が寄せられています。
アジア・欧米豪で12の国・地域の海外旅行経験者を対象にしたアンケート調査では、新型コロナ終息後に海外旅行したい国として、日本はアジアでは1位、欧米豪では米国に次いで2位となっています(図表3)。また、国籍別では、中国、香港、台湾、タイ人の6割超が訪日を希望しています。このことから、新型コロナの感染拡大によって一時的に訪日旅行が出来ない層が、事態収束後に、訪日旅行を計画する可能性が極めて高いと予測されています。インバウンド市場においても、新型コロナ終息後の早期回復が見込まれています。
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