日本政府、シリア企業・団体への経済制裁を一部解除
(日本、シリア、中東)
カイロ発
2026年10月01日
日本の外務省は9月29日、シリアの企業・団体に対する「資産凍結等の措置」を一部解除すると発表
した。
日本は国連安保理決議や欧米など主要国の制裁措置に沿って、シリアからの化学兵器関連物質の輸入禁止、アサド前政権関係者に対する資産凍結などシリアに対する制裁措置
を講じてきたが、アサド政権崩壊と主要国の制裁見直し(2025年5月23日記事参照)を受け、2025年5月に4つの政府系金融機関に対する制裁を解除した(2025年6月3日記事参照)。今回、新たに資産凍結などの措置が解除されたのは16社・団体で、金融、石油・エネルギー、通信、住宅、農産品流通など、同国の復興・復旧に不可欠な部門が中心だ。59の個人・15団体への資産凍結などの措置は維持する。
外務省は今回の一部制裁解除について、シリアを巡る情勢および日本との2国間関係に鑑みて決定したと説明している。シリア国営メディア(SANA)は9月29日付で、日本の決定を歓迎するとともに、今回の決定がシリアの治安と安定を強化し、復旧・復興に向けた取り組みを支える、と評価するシリア外務・移民省の声明を伝えた。
シリアを巡っては、2025年以降、中東近隣諸国による復興ビジネスが進展する。アラブ首長国連邦(UAE)の港湾管理会社ドバイ・ポーツ・ワールド(DPワールド)は2025年5月にシリア港湾局との間で8億ドルの投資について覚書を締結し、タルトゥース港の近代化と運営を担っている。カタールの建設・エネルギー大手UCCホールディングは同年11月、合計5,000メガワット規模の発電設備を建設・運営する契約をシリアのエネルギー省と締結した。この案件には、トルコのカリヨン(Kalyon)、ジェンギズ(Cengiz)といった大手建設事業者が参画している。サウジアラビアは同年7月にシリアと投資協定を締結、セメント工場建設など復興需要を見込んだ投資を進める(2025年7月28日記事、2025年8月25日記事参照)。
2026年8月24日には、米国がシリアのテロ支援国家指定を解除すると発表
した。同声明では、シリアへの追加投資を促進し、同国の政治的・経済的安定を支えることが目的の1つとされている。また、日本政府は同年7月30日、国連人間居住計画(UN-Habitat)が実施する、シリアの主要都市であるホムス市の都市機能復旧および廃棄物管理体制強化への無償資金協力を発表
した。今後のシリア復興ビジネスを巡る動向が注目される。
(久保田夏帆、塩川裕子)
(日本、シリア、中東)
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