サウジアラビアとシリア、経済連携強化を目的とする投資協定に署名
(サウジアラビア、シリア)
リヤド発
2025年08月25日
サウジアラビアのハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相と、シリアのモハンマド・ニダル・アルシャール経済産業相は8月18日、サウジアラビアの首都リヤドで開催されたラウンドテーブルで、両国間の投資促進と保護に関する協定に署名した〔8月19日付サウジ国営通信社(SPA)〕。この会議は7月にシリア・ダマスカスで開催されたシリア・サウジアラビア投資フォーラムを踏まえたものだ(2025年7月28日記事参照)。
この会議では、両国間の協力の方向性や、優先分野の経済・投資パートナーシップの機会、民間セクターの役割強化、投資の円滑化、投資開発や投資家支援に資する技術・知識の共有などについて議論を行い、その後、両国間で投資促進・保護協定(Investment Promotion and Protection Agreement)を締結した。同協定は共同投資を強化し、産業、サービス、インフラ、観光などの戦略的プロジェクトを発展させる実務的な枠組みを構築することを目的とする。ファーレフ投資相は「この協定は効果的な経済連携構築の取り組みを示すもので、サウジアラビアを国際的な投資ハブとして強化し、投資家に新たな地平を開き、付加価値を生む質の高い投資機会を提供するものだ」と述べた。アルシャール経済産業相は「シリアは地域経済協力を支援するサウジアラビアの重要な役割を評価している。この協定は相互利益をもたらし、経済関係を強化するプロジェクトへと質的転換を促すものだ」と言及した。
現地英字紙「アラブ・ニュース」(8月18日付)によると、3週間以内に進展した両国の協定・覚書は次のとおり。
- Al-Makan不動産開発社とシリア観光省がダマスカスにある複数の歴史的ホテルの管理運営で合意。
- サウジアラビアの貿易建設会社Cotrocとシリア製糖公社がシリア西部ハマーでの工場設立の契約を締結。
- Ghreiwal International Groupがダマスカスで総額20億ドル規模の不動産プロジェクト「Falak City」を建設。
- Jawharat Al-Sharq社とシリア投資庁が共同プロジェクト立ち上げに合意。
- Al-Asas社がシリア国内のリン鉱石採掘権に関する事業実現可能性の調査開始。
- Nayifat Finance社がダマスカスでの事務所開設許可を取得。
- Al-Bassam Groupがシリア西部ホムスで住宅・商業複合施設に投資計画を発表。
2024年にサウジアラビア投資省(MISA)でシリア企業に発行された投資ライセンス数は3,000件以上に達した。さらに、2023年のサウジアラビアでのシリアからの投資規模は84億リヤル(約3,276億円、1リヤル=約39円)に上った。
(林憲忠)
(サウジアラビア、シリア)
ビジネス短信 4099761694a0cc32