シリア・サウジアラビア投資フォーラム開催、シリア復興の協定47件、総額9,480億円規模

(サウジアラビア、シリア)

カイロ発

2025年07月28日

サウジアラビアのハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相を団長とする代表団が7月23日、シリア当局者との投資パートナーシップについて協議するため、シリアを訪問した。

翌24日に開催されたシリア・サウジアラビア投資フォーラムなど、訪問期間中に両国間で交わした投資協定は合計47件、総額240億リヤル(約9,480億円、1リヤル=約39.5円)に迫った〔7月25日付サウジ国営通信社(SPA)〕。投資協定分野は不動産、インフラ、金融、情報通信、エネルギー、工業、観光、貿易、ヘルスケアなど多岐にわたり、フォーラムでは緊急かつ効果的にシリアの経済復興に貢献するサウジアラビア企業の役割が議論された。

サウジアラビアのアル・バディア・セメントは粉砕・包装ラインと発電所拡張に2億ドル超を投じ、セメントの年間生産能力を500万トン以上に引き上げると発表した。ファーレフ投資相とシリアのモハンマド・ニダル・アルシャール経済産業相が会談した閣僚会合には、サウジアラビアのエネルギー大手アクアパワーのムハンマド・アブナヤン会長も参加した。

今回の代表団訪問期間中、投資額1億リヤル、年産能力15万トンのアル・ファイハー・セメント工場の定礎式、また、建築面積2万5,000平方メートル、投資額3億7,500万リヤル超を誇るダマスカスのアル・ジャウハラ・コマーシャル・タワーの定礎式などが開催された。

シリアに対しては、バッシャール・アル・アサド前政権の崩壊を受けて誕生したアフメド・アル・シャラア大統領率いる暫定政権を支援する各国・地域などの動きが活発になっている。EUは5月20日、シリアに対する経済制裁解除を決定(2025年5月23日記事参照)、日本は5月30日に経済制裁の一部解除(2025年6月3日記事参照)、米国のドナルド・トランプ大統領は6月30日、シリアに対する制裁を解除する大統領令を発表した(2025年7月3日記事参照)。また、世界銀行は6月25日、損傷した送電線や変電所の修復を行う「シリア電力緊急プロジェクト(SEEP)」に1億4,600万ドルの無償資金協力を発表している(2025年7月1日記事参照)。

(西澤成世)

(サウジアラビア、シリア)

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