日本がシリアへの経済制裁を一部解除
(シリア、日本)
カイロ発
2025年06月03日
日本の外務省は5月30日、シリアに対する資産凍結などの経済措置を一部解除する告示を発表した。次の4つの政府系金融機関に対する資産凍結などの措置を解除し、59の個人と31団体への制裁は維持する。
- インダストリアル・バンク(Industrial Bank)
- ポピュラー・クレジット・バンク(Popular Credit Bank)
- 貯蓄銀行(Saving Bank)
- 農業協同組合銀行(Agricultural Cooperation Bank)
日本は国連安保理決議や欧米など主要国の制裁措置に沿って、化学兵器関連物質の輸入禁止、アサド前政権関係者に対する資産凍結などシリアに対する制裁措置を講じてきた。米国のドナルド・トランプ大統領が5月13日に制裁解除に言及し、5月20日にEU(2025年5月23日記事参照)、23日に米国が経済制裁解除を発表
したのを受けて、日本も足並みをそろえたかたちだ。岩屋毅外相は30日の記者会見で、シリアの暫定政権が国内の混乱に対して政治的な解決と国民和解に向けた対話に取り組んでおり、今後も平和的かつ安定した移行を目指す姿勢を見せていることを評価し、国際社会と歩調を合わせて今回の制裁解除を決定したと説明した。
シリア国営メディア(SANA)は、シリア政府は今回の日本の決定を歓迎すると報じるとともに、「この措置はシリアの復興に向けた前向きな一歩であり、友好国の日本とのより一層の建設的な協力に貢献することを期待する」との外務・在外国民省のコメントを紹介した。
(塩川裕子)
(シリア、日本)
ビジネス短信 81e683f0cc9a57f8