米国、EUが対シリア制裁解除へ、UAEはインフラ投資

(シリア、米国、EU、アラブ首長国連邦)

カイロ発

2025年05月23日

シリア国営メディア(SANA)は5月19日、米国がシリアに対する制裁措置を解除する大統領令を発出すると報じた。ロイター通信など複数の報道によると、ドナルド・トランプ米大統領は5月13日に制裁解除に言及していた。米国の対シリア経済制裁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますはアサド政権(当時)への圧力を目的に、2011年から実施し、シリア政府機関の米国内資産の凍結や、米国の個人・法人によるシリア向けの投資やサービス輸出、同国からの原油輸入の禁止を含んでいる。2024年12月のアサド政権崩壊(2024年12月10日記事参照)と、暫定政権下での国家復興の取り組み(2025年3月18日記事参照)を受けて、米国がアサド政権に課した制裁を解除する時期と認識したとSANAは報じた。

5月20日には、EUが経済制裁解除の決定を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EUはアサド前政権への制裁と安全保障上の理由に基づく武器への制裁を維持し、さらに、人権侵害や社会不安の扇動に対して新たな措置を導入するとしている。シリア外務省はこの決定を歴史的なものと歓迎し、在欧シリア人や欧州企業による投資を支援すると述べた。

制裁解除の動きを受けたビジネス再開の兆しもみられる。SANAは5月16日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点とする港湾管理会社DP(ドバイ・ポーツ)ワールド(DP World)がシリアの港湾局との間で8億ドルの投資について覚書(MOU)を締結したと報じた。シリア西部、地中海沿いのタルトゥース港での多目的ターミナルの開発、管理、運営にDP Worldが投資し、港の効率性の向上やキャパシティーの増強、地域および国際貿易のハブとしての役割強化を目指す。また、シリア国内のドライポートやフリーゾーンの開発についても協力することで合意した。

(塩川裕子)

(シリア、米国、EU、アラブ首長国連邦)

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