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トランプ米大統領、ロボット・産業機械輸入を巡り232条に基づく各国との交渉を指示、追加関税は指示せず
(米国)
ニューヨーク発
2026年10月30日
米国のドナルド・トランプ大統領は10月28日、1962年通商拡大法232条に基づき、ロボット・産業機械の輸入を巡る安全保障上の懸念に対処するため、各国との交渉を指示する大統領布告
を発表した。同日、ファクトシート
も公表した。同日時点では、追加関税などの具体的な輸入制限措置は盛り込まれていない。調査対象に含まれていたマシニングセンタやフライス盤などを含む関税分類番号(HS)84の2025年の対日輸入額は、HS87(自動車・同部品)に次いで2番目に大きい。このため、新たな追加関税が導入された場合の影響が懸念されていた。
232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすと商務長官が判断した場合に、追加関税などの輸入制限措置を発動する権限を大統領に認めている。商務省は2025年9月、ロボット・産業機械の輸入に関する232条調査を開始していた(注1)。
今回発表された大統領布告によると、商務長官は、ロボット・産業機械が米国の国家安全保障を損なう恐れがある数量および状況で輸入されていると認定した(注2)。具体的には、ロボット・産業機械は航空機、戦車、艦船、兵器、弾薬などの防衛システムの生産に不可欠である一方、米国は部品を含む多くの種類を輸入に依存し、輸入額も過去10年間で増加していると指摘した。また、米国内産業は、国家安全保障上の需要を満たす十分な量を生産できていないとした。
これを受け、トランプ氏は、ロボット・産業機械の輸入による国家安全保障上の懸念に対処するため、商務長官と米国通商代表部(USTR)代表に対し、各国との交渉を指示した(注3)。また、布告日から180日以内に少なくとも1回、交渉の進捗状況を報告するよう命じた。商務長官には、ロボット・産業機械の輸入動向を継続的に監視し、232条に基づく追加措置が必要と判断した場合には、大統領に報告するよう指示した。
第2次トランプ政権下では、発足から現在までに13件の232条調査が行われ、今回のロボット・産業機械を含む11件の調査が終了した。このうち7件では、何らかのかたちで関税を課す判断が下されている。一方、ロボット・産業機械のほか、重要鉱物(2026年1月16日記事参照)、民間航空機(2026年7月13日記事参照)、風力タービン(2026年10月26日記事参照)については、各国との交渉継続を指示するにとどまり、実質的な輸入制限措置は取られていない。調査結果が発表されていない残る2件は、個人用防護具(PPE)・医療機器と石炭(2026年7月3日記事参照)となる。
(注1)ロボット・産業用機械に関する232条調査では、CNCマシニングセンタ、旋盤・フライス盤、研削・バリ取り装置、産業用プレス機械、自動工具交換装置、治具、切削・溶接・ワークハンドリング用工作機械などを対象としていた(2025年9月26日記事参照)。
(注2)調査報告書は、大統領布告の発表日からさかのぼって90日以内に、商務長官が大統領に提出した。ただし、具体的な提出日は明らかにしていない。大統領は報告書を受け取ってから90日以内に、対応を決定する必要がある。
(注3)交渉相手国は、大統領布告では具体的に示されていない。
(赤平大寿)
(米国)
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