米商務省、民間航空機・同部品への232条調査終了、各国・地域との交渉へ

(米国)

ニューヨーク発

2026年07月13日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月9日、1962年通商拡大法232条に基づき、商務長官と米国通商代表部(USTR)代表らに対して、民間航空機・ジェットエンジンおよびその部品(以下、民間航空機・同部品)の輸入量調整に向け、各国・地域との交渉を指示する大統領布告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ホワイトハウスは同日、ファクトシートも公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。現時点の追加関税の適用は見送られた一方、今後の交渉状況によっては、追加関税などの輸入制限措置が講じられる可能性が残されている。

商務省は2025年5月、民間航空機・同部品の輸入が米国の国家安全保障に及ぼす影響を判断するための調査を開始した(2025年5月12日記事参照)。232条は、特定製品の輸入が国家安全保障上の脅威となると商務長官が判断した場合に、追加関税などの措置を発動する権限を大統領に認めている。商務長官が脅威の存在を認定した場合、大統領は報告を受けてから90日以内に対応策を発表しなければならない。

布告によると、商務長官は、米国の航空機産業が外国のサプライチェーンに過度に依存しており、国家安全保障上の懸念を引き起こしていると認定した一方、直ちに関税を課すべきではないと大統領に勧告した。

トランプ氏は調査開始から90日以内に報告を受け(注1)、商務長官およびUSTR代表らに対し、次の措置を指示した(注2)。

  • 国家安全保障上の脅威となる損害に対処するため、輸入量の調整に向けた協定の交渉を推進すること。
  • 交渉の進捗状況を、布告の発表日から180日以内に大統領に報告すること。

トランプ政権2期目に開始された232条調査のうち、追加関税の賦課が見送られたのは、2026年1月に調査結果が公表された重要鉱物に続き2回目となる(2026年1月16日記事参照)。米国はWTOの民間航空機貿易に関する協定の締結国であり、同協定に基づき、民間航空機・同部品に対して関税を課していない。このため今後、追加関税措置を発動した場合、同協定に抵触する可能性がある。このほか、2026年2月から発動している1974年通商法122条に基づく課徴金についても、民間航空機・同部品を措置の対象外としており(注3)、トランプ政権の関税措置がこれらの品目に与える影響は限定的となっている。

(注1)布告では、具体的な日付は明らかにしていない。

(注2)トランプ氏は、交渉状況や結果次第で関税を含む是正措置を検討する可能性があるとしている。

(注3)このほか、米国が日本や韓国、英国、EU、台湾と締結した相互貿易協定の中で、232条に基づく鉄鋼、アルミニウム、銅への追加関税を適用しないと定めている。

(滝本慎一郎)

(米国)

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