フランス政府、2027年予算法案を閣議決定、財政健全化と成長投資の両立を目指す

(フランス)

パリ発

2026年10月07日

フランス政府は10月1日、2027年予算法案を閣議決定した。同法案は、財政赤字の削減を進める一方で、将来の成長力を支える投資を維持することを柱としている。

同法案では430億ユーロの新たな財政健全化措置を盛り込み、既存の措置と合わせ総額540億ユーロの財政再建策を実施する。これにより、歳出のGDP比は56.9%となり、前年から0.2ポイント低下する。この前提として、政府は2027年の実質GDP成長率を1.0%と予測しており、国際情勢の改善や財政健全化による家計・企業の信頼回復を通じて、消費と投資を下支えしたい考えだ。

ウクライナや中東情勢の緊迫化、猛暑や干ばつなどの気候関連リスクの影響を受け、2026年の実質GDP成長率見通しは1.0%から0.5%へ下方修正された。税収減や金利上昇による利払い費増に加え、燃料関連の家計・企業支援策が財政を圧迫する中、財政赤字も予算法で定めたGDP比5.0%を上回る5.4%に達する見込みで、政府は2027年にこれを5.0%へ引き下げる目標を掲げている(2026年2月4日記事参照)。

政府は2027年予算法案において、税制の安定と予見可能性の確保を重視し、家計や企業の負担となる広範な増税は実施しない方針を示した。

財政再建は歳出抑制が柱となる。政府は、防衛費やEUへの拠出金、地方自治体向け交付金を除く各省庁の歳出を2026年当初予算と同水準に据え置く(2025年10月20日記事参照)。中央省庁や行政関連機関の人員削減・合理化に加え、年金を中心とする社会保障関連支出の抑制などに取り組む。その一方で、防衛や治安といった重点分野への予算配分は増額する。改定軍事計画法に基づき、2027年の国防予算は64億ユーロ増の634億ユーロに達する見込みだ(2026年7月14日記事参照)。さらに、司法予算には4億ユーロ、内務予算には10億ユーロを追加し、治安・安全保障体制を強化する。

また、政府はイノベーションや環境・エネルギー移行の推進を継続する。研究開発税額控除(CIR)を維持するほか、グリーン産業向け投資税額控除(C3IV)の対象を送電網や電気自動車用バッテリー関連設備などへ拡大する(2023年10月30日記事参照)。さらに、ロボット、3Dプリンティング、生成人工知能(AI)など「インダストリー4.0」関連投資を対象とした特別償却制度を導入し、中堅・中小製造業の設備近代化を後押しする。

エネルギー・脱炭素化分野では、産業の脱炭素化を支援するため、「産業脱炭素化大型プロジェクト」に2億5,000万ユーロを計上したほか、フランス電力(EDF)による新型原子炉(EPR2型)6基の建設計画を支援するため1億3,700万ユーロを充てる。

2027年予算法案の公表を受けて、左派政党は不信任決議案の提出を辞さない構えを見せているほか、右派や極右勢力も批判的な姿勢を示している。メディアは、予算法案の成立は不透明との見方を伝えている。

(山崎あき)

(フランス)

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