フランス、軍事計画法を改正、360億ユーロを追加投入
(フランス、ロシア、ウクライナ)
パリ発
2026年07月14日
フランス議会は7月1日、2024~2030年軍事計画法(LPM)の改正案を最終可決した。現行のLPM
(フランス語)は、2024~2030年の7年間で4,133億ユーロを国防に投入し、防衛支出をGDP比2%へ引き上げることを柱にしていた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻以降の欧州の安全保障環境の悪化に加え、2025年6月のNATO首脳会議で加盟国が防衛・安全保障関連支出を2035年までにGDP比5%へ拡大する目標を採択
したことを受け、政府は追加の防衛力強化が必要と判断した。
今回の改正法では、既存計画に加えて2026~2030年に360億ユーロを追加投入し、防衛支出を2030年までにGDP比2.5%、2035年までに3.5%に引き上げる方針だ。
軍の人員も増強し、2030年までに常勤換算で27万5,000人体制を目指す。あわせて、18~25歳の志願者を対象とする新たな「国家貢献制度(service national)」を導入する。2030年までに1万人規模へ拡大する計画で、参加者は10カ月間、軍人として任務に従事する。
装備面では、ドローン、対ドローンシステム、戦術レーダー、電磁妨害能力(ジャマー)(注)などへの投資を拡大。さらに、2030年代末までの実戦配備を視野に、射程2,500キロメートル級の通常弾頭地上発射弾道ミサイルの研究開発を進める。また、弾薬備蓄の大幅な増強も打ち出しており、自爆型・遠隔操作弾薬は当初計画比5倍、空対地兵器を3.4倍とする。
宇宙分野では、軍事通信、宇宙監視、早期警戒システムを強化するほか、2030年までに地上から宇宙への妨害能力(ジャミング)の実戦配備を目指す。装備調達では、フランスおよび欧州製のデジタル技術を優先し、防衛分野における戦略的自立の確保を図る。
さらに、国家の重要インフラを担う事業者や防衛関連企業に対し、戦略物資の備蓄を義務付ける仕組みを導入するほか、公費で開発した防衛技術の輸出時に使用料を徴収する制度も創設する。
改正法には、新たな「国家安全保障警戒体制(état d'alerte de sécurité nationale)」の創設も盛り込まれた。国家機能の維持や国民保護が脅かされる事態に際して発動され、防衛関連プロジェクトにおける都市計画や環境規制などの手続きを簡素化できるようにする。政府は、高強度紛争やハイブリッド攻撃の脅威が高まる中、フランスの防衛力と国家レジリエンスの強化を図るとしている。
(注)強力な電磁波を発射して敵の通信やレーダー、GPS、ドローンの制御信号などを妨害する能力。
(山崎あき)
(フランス、ロシア、ウクライナ)
ビジネス短信 de4655585f2591e6





閉じる