グリーン製造業法を施行、バッテリーやヒートポンプなどの国内生産を支援

(フランス、EU)

パリ発

2023年10月30日

フランス政府は10月24日付官報でグリーン製造業法を公布した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(同25日施行)。米国のインフレ抑制法と、中国の第14次5カ年規画に対抗したEUのグリーン製造業競争力強化の動き(2023年3月20日記事参照)に対応するもので、バッテリー、ヒートポンプなど脱炭素化に欠かせない工業品の国内生産を支援し、製造業の脱炭素化を加速する。工場の国内立地支援、グリーン製造業への投資資金の動員、公共調達および公的支援のグリーン化、の3つが柱となる。主な内容は次のとおり。

【工場の国内立地支援】

  • 工場用地の確保に向け、産業跡地の整備・再利用を促進する。
  • 環境認可手続きの簡素化により、工場設置までに必要な期間を現行の平均17カ月から9カ月に短縮する。
  • 産業・技術上の自立性や環境移行で重大な国益をもたらすプロジェクトを選定し、工場設置支援に向け、行政手続きを簡素化する特例措置を設ける。
  • 行政罰を設けることで、製造業から出される廃棄物の回収・再利用を促進する。

【グリーン製造業への投資資金の動員】

  • 低炭素プロジェクトへの投資を促進するため、若年層に適用を絞った税優遇口座「気候未来貯蓄プラン」を創設する。
  • 低炭素プロジェクトへの投資を識別するラベル制度を新設する。
  • 「グリーン製造業支援投資税額控除制度(C3IV外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を創設し、太陽光発電、バッテリー、風力発電、ヒートポンプの4つの戦略分野における生産拡大に向けた投資を支援する。同措置は現在、議会で審議されている2024年政府予算法案に組み込まれており、法案成立後(12月末)、欧州委員会の承認を得て施行される。

【公共調達および公的支援のグリーン化】

  • 入札参加資格の取得要件に、温室効果ガス排出量に係わる報告書作成義務の順守と、(財・サービスの)持続性に係わる情報公開義務を追加する。また、EUと同等の市場アクセスを保障する協定を結んでいないEU域外国を原産地とする製品が大部分を占める場合は、入札参加を拒否することができる。
  • 環境・エネルギー移行分野で公的支援を受ける企業に対し、2024年6月から温室効果ガス排出量に係わる報告書の公表を義務付ける。

政府は同法の施行により、2030年までに230億ユーロの投資と4万人の雇用創出、4,100万トンの二酸化炭素(CO2)排出量削減を期待している。

(山崎あき)

(フランス、EU)

ビジネス短信 07d9c762b3df5de8