米フェニックス・テイリングス、NY州北部に世界最大級のレアアース分離施設を建設

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年10月22日

米国の希土類(レアアース)生産企業フェニックス・テイリングスは10月20日、ニューヨーク(NY)州北部のロチェスターに、レアアース原料から酸化物を分離し、レアアース金属の国内生産につなげる施設を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は、レアアース・サプライチェーンの中間工程にあたる分離・精錬を米国内で行うため、総額12億ドル超を投資する「フリーダム・プロジェクト」を進めており、今回の発表はその一環となる。

フェニックス・テイリングスの発表によれば、同施設は本格稼働時に年間1万8,000トン超のレアアース原料を処理し、4,400トン超のレアアース酸化物を生産する世界有数のレアアース分離施設になる見込みだ。政治専門紙「ポリティコ」(10月20日)は、その規模について、中国以外では世界最大級の施設になると報じた。2027年に生産を段階的に開始し、2028年の本格稼働を予定する。同社は6月に戦争省(国防総省)戦略資本局(OSC)から5億ドルの条件付き融資を受けることで合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、同資金は今回の施設建設に活用される。

NY州のキャシー・ホークル知事(民主党)は、今回の発表にあわせ、同施設について「NY州のイノベーション経済をさらに後押しするだけでなく、レアアースのサプライチェーンを構築することで、重要鉱物資源の海外依存を低減し、国家安全保障の強化にも極めて重要な役割を果たす」と意義を強調した。

米国はレアアースを含む重要鉱物を中国に依存しており、サプライチェーンの強靭(きょうじん)化が喫緊の課題となっている。商務省(2026年6月8日記事参照)やエネルギー省(DOE、2026年8月28日記事参照)などは、重要鉱物のサプライチェーン強靭化に資する企業やプロジェクトへの支援を進めている。DOEは6月、米国内の産業廃棄物に由来する原料から高純度のレアアース金属を生産するフェニックス・テイリングスのプロジェクトに対し、6,600万ドルの助成金を提供した。米国は国内産業への投資に加え、同盟国などと連携した供給源の多様化にも取り組んでいる(2026年10月2日付地域・分析レポート、2026年10月13日付地域・分析レポート参照)。

一方、レアアースを巡る米中関係は不安定な状況が続いている。米中両国は、中国によるレアアースの輸出管理措置などを含む通商措置を2026年11月まで停止することで合意している。しかし、現時点でその後の措置に関する公式発表は出ておらず、スコット・ベッセント財務長官が、一時停止期間を2027年1月まで延期することで合意したと述べたにとどまっている。一時停止期限が迫る中、9月に開催された米中首脳会談のファクトシートでも、レアアースについては、中国が「米国が抱える懸念に引き続き対処し、出荷量を適切な水準に戻すことを目指す」との記載にとどまっている(2026年9月28日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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