米商務省、USAレアアースと最終契約、供給網の国内回帰を加速

(米国)

ヒューストン発

2026年06月08日

米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)CHIPSプログラム局は6月3日、CHIPSプラス科学法(CHIPSプラス法)に基づき、レアアース企業USAレアアース(USA Rare Earth、USAR)との最終契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社への支援方針を示した従来の発表(2026年1月27日記事参照)を具体化したものとなる。

半導体を含む国内製造基盤の強化に向け、商務省はUSARに対し、最大約16億ドルの資金支援を実施する。内訳として、最大2億7,700万ドルの補助金と最大13億ドルの融資で構成される。これにより、重要鉱物の採掘から磁石製造までの一貫した供給体制の確立を後押しする。

同社は、テキサス州シエラブランカ近郊のラウンドトップ鉱山における採掘・加工施設の建設に加え、オクラホマ州およびサウスカロライナ州の既存工場の拡張・現代化を進める。生産面では、ネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)磁石を含むレアアース磁石および金属・合金について、それぞれ年間最大1万トン規模の生産能力を確保する計画となっている。対象となる鉱物には、ディスプロシウム、テルビウム、イットリウムなど、半導体や電動機器、再生可能エネルギー設備に不可欠な12種類の重要鉱物が含まれる。

本件は、採掘から最終製品までの一貫体制「マイン・トゥ・マグネット(Mine-to-Magnet)」を構築する同社の戦略を後押しするもので、海外依存度の高いレアアース供給の国内回帰を進める狙いがある。米国では近年、経済安全保障の観点から重要鉱物のサプライチェーン見直しが進められており、今回の合意もその一環と位置付けられる。

USARは2026年3月、共同事業者テキサス・ミネラル・リソースを株式交換により買収し、テキサス州ラウンドトップ鉱山の単独運営権を取得する方針を発表した。これにより、同社は米国内最大級とされる重希土類資源の開発を一体的に推進する体制を整え、生産開始は2028年を見込む。さらに5月には、テキサス州半導体イノベーション基金(TSIF)から約1,420万ドルの助成金を受給すると発表した。これはラウンドトップ鉱山開発の加速を目的とするもので、約260人の雇用創出と14億ドル超の投資につながる見込みだ。州レベルでも、半導体関連の重要鉱物供給網の強化が進められている。

またUSARは6月2日、サウスカロライナ州ブラックスバーグにおいて、約12億ドルを投じてレアアース磁石および精製金属の製造拠点を新設する計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。一方、オクラホマ州スティルウォーターの磁石製造拠点については、当初2023年の生産開始が見込まれていたものの、現時点では完全な商業生産には至っていない。一部では、公的支援の効果や事業進捗に対する懸念も指摘されている。

(キリアン知佳)

(米国)

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