米エネルギー省、重要鉱物・電池材の国内供給網強化へ5億ドル支援

(米国)

ニューヨーク発

2026年08月28日

米国エネルギー省(DOE)は8月20日、米国内の重要鉱物・材料の加工、バッテリー製造、リサイクル能力の拡大を目的とした7事業を、合計5億ドルの支援対象として選定したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。重要鉱物・材料の海外依存を低減し、国内サプライチェーンや国家安全保障を強化するとともに、米国のエネルギー優位性を推進することが狙いだ。

今回の資金拠出は、バイデン前政権下の2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)40207条PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に基づくもの。同条に基づき、2022年10月には第1弾として28億ドル、2024年9月には第2弾として30億ドルの支援対象が選定されていた(2022年10月21日2024年9月24日記事参照)。今回の発表はその第3弾にあたる。

ただし、DOEはこれを、2025年8月にトランプ政権が打ち出した総額約10億ドルの重要鉱物・材料サプライチェーン強化策の一環として位置づけており、最大5億ドルを「バッテリー材料の加工・製造・リサイクル」事業に充てるとして、2026年3月に公募を開始していた(2025年8月19日記事参照)。

バイデン前政権下では、脱炭素化や電気自動車(EV)普及促進の一環としてバッテリーサプライチェーン強化が進められていた。現政権では同じ支援の枠組みの中で、国家安全保障や中国を含む対外依存低減の観点から、重要鉱物・電池材料サプライチェーンへの支援が維持されている。今回選定された事業は次のとおり。

〇バッテリー材料加工事業(計2億ドル)

  1. ウォーターリーフ P1 HoldCO:ユタ州グレートソルト湖に商業規模のリチウム抽出・精製施設を建設(支援額:1億ドル)。
  2. フォーメーション・ホールディングスUS(ジャーボア):商業規模のコバルト精製施設を米国内に建設(同:1億ドル)

〇バッテリー製造・リサイクル事業(計3億ドル)

  1. エヌス・サイクル(本社:マサチューセッツ州):米国南東部で、使用済みリチウムイオン電池や製造スクラップ由来のブラックマス(注)の精製施設を整備(支援額:1億ドル)。
  2. プリンストン・ニューエナジー(本社:ニュージャージー州):電池製造時のスクラップからニッケル含有正極材を回収・再生するため、ジョージア州に実証施設を建設(同:5,000万ドル)。
  3. アルカナム・ベンチャーズ:米国メキシコ湾岸地域に施設を建設し、実証済みの化学処理技術を用いて、リチウムイオン電池の電解液の主要成分である電池グレードのエチレンカーボネートを生産(同:5,000万ドル)。
  4. エレベーテッド・マテリアルズ(本社:カリフォルニア州):高エネルギー密度かつ急速充電が可能な電池の実現に向け、極薄リチウム金属フィルムおよびプレリチウム化材料を生産する施設を米国内に建設(同:5,000万ドル)。
  5. コアシェル・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州):シリコン負極電極・セルの製造能力を構築(同:5,000万ドル)。

DOEのクリス・ライト長官は、「米国は長年、経済、エネルギー安全保障、そして国家安全保障を支える現代生活に不可欠な重要素材を外国に依存してきた。トランプ大統領は、重要サプライチェーンを確保し、米国の産業を解放し、重要な材料の生産と処理を米国国内に呼び戻すことで、この依存関係を解消しようとしている」と述べた。

(注)使用済みのリチウムイオン電池などを破砕・分離して得られる黒色の粉末状の中間素材。

(大原典子)

(米国)

ビジネス短信 d234950f74b3765b