米USTR、ブラジルへの301条調査を完了、25%の追加関税を提案

(米国、ブラジル)

ニューヨーク発

2026年06月04日

米国通商代表部(USTR)は6月1日、ブラジルに対する1974年通商法301条に基づく調査を完了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同国産品に原則25%の追加関税を課すことが適切だと提案し、今後パブリックコメントの募集や公聴会の開催などを経て、発動する措置の内容を決定する。

USTRは2025年7月に、ブラジルのデジタル貿易および電子決済サービス分野における米国企業に対する措置や制限などの6項目について、301条調査を開始した(注1)。301条は、外国の不公正な政策や慣行が米国の商業に負担や制限を与えるなどと調査を通じて判断された場合に、大統領の指示に従い、外国の製品に追加関税など輸入制限措置を講じる権限や、外国のサービスに料金や制限を課す権限などをUSTRに付与している(注2)。一般に、USTRは調査開始から12カ月以内に措置内容を決定し、決定後30日以内に措置を発動する。

USTRは今回の官報案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、調査の結果、6項目に関する政策や慣行は、米国企業の競争力を損なう可能性があると結論付けた。その上で、対抗措置として、原則、ブラジルの全ての品目に対する25%の追加関税賦課を提案した。なお、1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の対象品目や、米国で十分な量を栽培・生産できない、あるいはほかの供給源から調達できない品目については、追加関税の対象外とした(注3)。

USTRは今回の調査結果に関するパブリックコメントを7月1日まで、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで募集するとともに、7月6日に公聴会を開催する。USTRのジェミソン・グリア代表は声明で、調査期間中にブラジルと数回会談を実施したものの、調査対象項目の解決には「依然として大きな隔たりがある」と述べた。

トランプ政権はブラジルに対して、2025年8月から、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき50%の追加関税を課していたが(2025年8月1日記事参照)、2026年2月に連邦最高裁判所が同法に基づく追加関税を無効とする判決を下した。これを受けて、トランプ政権が1974年通商法122条に基づく10%の課徴金を発動したことで(2026年2月27日記事参照)、ブラジルへの追加関税率は10%まで引き下げられている。ただ、122条に基づく課徴金は7月24日までの時限的措置だ。USTRは、ブラジルを含む複数の国・地域の強制労働産品の輸入禁止措置についても別途301条調査の結果として追加関税を提案していることから(2026年6月3日記事参照)、ブラジルに対する追加関税率は、これら2つの調査の結果も含めた引き上げが見込まれる。

(注1)それ以外の項目は、特定国に対する不公正な特恵関税の適用、腐敗行為などに対する不十分な取り締まり、知的財産権の不十分な保護や侵害対策、米国のエタノールに対する高関税の賦課、違法な森林伐採に対する不十分な取り締まり。2025年7月17日記事参照

(注2)米国が2018年7月以降に中国原産品の輸入に課してきた7.5~100%の追加関税や(2026年5月7日記事参照)、2027年6月から中国の半導体輸入などに課す予定の追加関税なども同条に基づく(2025年12月24日記事参照)。具体的な手続きは、同法302~309条で規定される。301条に基づく調査や発動の手続きの詳細は、2024年12月10日付地域・分析レポート参照

(注3)本関税措置の対象外品目の米国関税分類番号(HTSコード)は官報案の付属書(Annex)に掲載されている。

(滝本慎一郎)

(米国、ブラジル)

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