米USTR、日本含む60カ国・地域に10~12.5%の301条関税を提案、強制労働産品の輸入禁止措置を巡り
(米国)
調査部米州課
2026年06月03日
米国通商代表部(USTR)は6月2日、強制労働を使用して生産された産品の輸入禁止措置をめぐって、1974年通商法301条に基づき調査を実施した結果、日本を含む60カ国・地域からの原則全ての輸入品に10%または12.5%の追加関税を課すことを提案
した。同日、追加関税に関する官報案
と調査結果に関する報告書
も公表した。
301条は、外国の措置、政策、慣行が不合理または差別的で、米国の商業に負担や制限を与えるなどと調査を通じて判断された場合に、外国の製品に追加関税など輸入制限措置を講じる権限や、外国のサービスに料金や制限を課す権限などをUSTRに認めている。USTRは3月、60カ国・地域を対象に強制労働産品の輸入禁止措置の実施に関する301条調査を開始した。4月まで利害関係者からパブリックコメントを募集し、公聴会を開催していた(2026年5月7日記事参照)。
USTRは調査の結果、いずれの国・地域も輸入禁止措置を十分に実施していないと結論付けた。輸入禁止措置を十分に実施しないことにより、強制労働を利用する企業がより低いコストで商品を生産することを許容し、強制労働を利用しない企業の市場環境をゆがめることは不合理などと指摘した。また、輸出市場と米国市場の両方で、米国の生産者を強制労働産品との不公正な競争にさらし、米国の商業に負担や制限を課しているなどと判断した。
追加関税率は、各国・地域の輸入禁止措置の実施状況によって分けた。国内法で強制労働産品の輸入禁止を定めている国・地域(注1)や部分的に規制を施行している国(注2)、米国との「相互貿易協定」で強制労働産品の輸入禁止に合意した国・地域(注3)には10%を課し、輸入禁止措置を効果的に実施していないと判断した、それ以外の日本を含む46カ国には12.5%を課すことを提案した。
提案した追加関税には適用除外品目を設けた。具体的には、官報案の付属書Aに米国関税分類番号(HTSコード)別に列挙されており、米国内で十分な量が生産されていない品目などが含まれる。1962年通商拡大法232条に基づく追加関税が課されている品目も対象から外した。さらに、衣料品と繊維製品については、米国から各国・地域への繊維製品の輸出量に応じて関税を軽減する仕組みを設ける意向を示した。
USTRはこれらの追加関税案について、7月6日までパブコメをUSTRのウェブサイト
で受け付ける。7月7日には公聴会を開催予定だ。USTRは強制労働産品の輸入禁止措置に関する調査とほぼ同時に、16カ国・地域を対象に過剰生産能力に関する調査を開始しており、こちらの調査結果も近々公表される可能性がある(2026年5月12日記事参照)。
(注1)カナダ、エクアドル、EU、インドネシア、メキシコ、パキスタン。
(注2)英国のみ。
(注3)アルゼンチン、バングラデシュ、カンボジア、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、インドネシア、マレーシア、台湾。
(甲斐野裕之)
(米国)
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