中国、輸出信用保険を通じてサービス・デジタル・グリーン分野の貿易を促進

(中国)

調査部中国北アジア課

2026年04月10日

中国商務部と中国輸出信用保険(注1)は3月27日、「輸出信用保険の役割を十分に発揮し、第15次5カ年規画における商務分野の質の高い発展の良好なスタートを推進することに関する通知」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、「通知」)を発表した。第15次5カ年規画要綱(2026年3月11日記事参照)では、貿易促進における輸出信用供与や信用保険による支援の強化について言及されている。

通知では、(1)財貿易の最適化・高度化、(2)対外貿易における新たな成長原動力の育成、(3)対外貿易と国内取引の一体化推進、(4)産業・サプライチェーンの合理的で秩序ある国際的配置への誘導、(5)「一帯一路」を中心とした経済・貿易協力の深化、(6)中小・零細企業に対する支援強化の6つの項目について具体的措置が示された。

(1)では、短期輸出信用保険の運用を強化し、引受限度額の配分の最適化や輸入前払い保険の活用、保険種目を超えた連携を通じて、輸出信用保険の取引量の安定化と対象範囲の拡大、質の向上と効率化を推進するとした。(2)では、対外貿易の新たな分野、業態、モデルの発展ニーズに対応するため、各分野の特性を踏まえた与信の根拠の充実や審査基準の明確化、保険引き受けの仕組みの革新を行う。あわせて、先進的な取り組みや成功事例の普及を進めることで、サービス貿易、デジタル貿易、グリーン貿易など新たな分野の貿易の発展をより効果的に支援するとした(注2)。(3)では、輸出保険と国内取引保険の連携を強化し、産業チェーン全体を対象とした保険の引受体制を整備する。これにより輸出企業が国内市場への販売を安心して拡大できるよう支援するとした。また(4)では、貿易保険やプロジェクト保険をはじめ、金融・保証サービスを組み合わせたサプライチェーン全体および全プロセスにわたるサービス保障を提供するとともに、海外事業に伴うリスク管理機能を強化する方針を示した。

2025年10月に開催された「2025年『国家リスク分析報告書』(注3)発表会」において、中国輸出信用保険の盛和泰総経理は「各国における経済発展の格差が拡大しており、リスクの変化動向に一層注視することが求められる。競争の激化が複数のリスクを引き起こしており、信用リスク管理をより重視する必要がある」と2026年を展望していた。

(注1)2001年12月18日に中国政府の出資により設立された、中国の対外経済貿易を支援する国有の政策系保険会社。

(注2)中国の2025年国際収支報告によれば、2025年のサービス貿易は輸出入総額が前年比6.2%増の1兆75億ドルとなり、初めて1兆ドルを超えた(2026年4月8日記事参照)。また、第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議(2026年3月6日記事参照)で発表された政府活動報告では、デジタル貿易・グリーン貿易を発展させるとしていた(2026年3月26日記事参照)。2025年10月に署名された、ASEANとのACFTA3.0議定書においてもデジタル、グリーン貿易に関する項目が盛り込まれている(2025年11月17日記事2026年4月1日付地域・分析レポート参照)。

(注3)中国輸出信用保険が2005年以降毎年発行している、国家リスクに関する報告書。

(和田拓己)

(中国)

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