中国、2026年はより多くの貿易・投資協定締結を推進

(中国)

調査部中国北アジア課

2026年03月26日

中国・第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が3月5~12日の日程で開催された(2026年3月6日記事参照)。同会議で発表された政府活動報告では2026年の各種政策の方針が示された。

同報告では対外開放について、より多くの2国(地域)間、および多国(地域)間の貿易・投資協定の締結を推進すると表明したほか、デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入交渉を積極的に推進するとした。また、デジタル貿易・グリーン貿易を発展させるとした。

全人代に先立って1月26日に行われた中国商務部の会見では2025年の通商政策の成果と2026年の方針がより具体的に説明された。説明によると、2025年は中国・ASEAN自由貿易協定(ACFTA)3.0アップグレード議定書への署名(2025年11月17日記事参照)、太平洋島しょ国やコンゴ共和国との協定(2025年11月6日記事参照)、モルディブとのFTAの発効(2025年1月1日)、タジキスタンとの投資協定の発効(同年8月20日)、カザフスタンおよびロシアとの投資協定のアップグレードなどが成果とされた。

2026年の取り組みとしては、「量」「質」「効果」をそれぞれ満たすことを方針としつつ、2国(地域)間、および多国(地域)間の貿易・投資協定交渉を加速させると表明した。「量」の面では湾岸協力会議(GCC、注)、スイス、韓国、ニュージーランド、太平洋島しょ国、中央アジアおよびアフリカ諸国との自由貿易に関する協力を引き続き推進し、「一帯一路」の共同建設国を中心に投資協定交渉を加速するとした。「質」の面では、投資の自由化や円滑化、投資保護のレベルを高め、ハイレベルなデジタル経済やグリーン経済などのルールを組み込んでいくとした。「効果」の面では、知財保護、産業補助金、環境基準、労働者保護、政府調達などの分野で国内改革を推進するとともに、規則・規制・管理・標準(規格)の連携・互換性を実現するとした。

2025年10月28日に署名されたACFTA3.0アップグレード議定書は本稿執筆時点で未発効であるものの、同議定書には、新たにグリーン経済、デジタル経済、サプライチェーン相互連結、競争・消費者保護、中小企業の5章が盛り込まれるなど、上記の2026年の取り組み内容を反映している部分も多い。例えば、グリーン経済の章においては、環境関連製品・サービスに関する貿易障壁の改善や投資協力強化のほか、環境にフレンドリーな製品の標準(規格)、技術法規、適合性評価手続きなどにおける協力を模索すると規定されている。こうした内容を把握しておくことは中国の通商政策の方向性を見通す上で1つの参考になり得る。

(注)サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートの6カ国が加盟。

(小宮昇平)

(中国)

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