トランプ米政権、米製薬大手レジェネロンと薬価引き下げや関税減免で合意
(米国)
ニューヨーク発
2026年04月28日
米国のトランプ政権は4月23日、米製薬大手レジェネロンと米国での薬価引き下げなどで合意
したと発表した。
ホワイトハウスの発表によると、合意内容は次のとおり。
- 他の先進国での価格を基準に米国内での販売価格を引き下げ、各州のメディケイド・プログラム(注1)が同社の新製品に最恵国待遇(MFN)価格を適用できるようにする。
- 今後米国市場に投入する全ての新医薬品について、MFN価格を保証する。
- 既存製品による海外収益の増加分を、米国に還流する。
- コレステロール治療薬「プラルエント(Praluent)」の価格を、TrumpRx(注2)経由で販売する際、537ドルから225ドルに引き下げる。
- 遺伝性難聴に対する遺伝子治療薬「オタルメニ(Otarmeni)」を、米国の患者に無償で提供する。同治療薬は同日、米食品医薬品局(FDA)長官による「国家優先バウチャープログラム(CNPV、注3)」を通じて承認された。
- 2029年までに、米国での研究開発および製造に270億ドルを投資する。
一方、レジェネロンの発表
によると、商務省との合意により、同社の医薬品は価格規制の対象外となり、3年間の関税の減免を受ける。関税の減免は、ドナルド・トランプ大統領が4月2日に発表した、1962年通商拡大法232条に基づく特許医薬品などに対する追加関税を指しているとみられる(2026年4月3日記事参照)。
トランプ政権は2025年7月に主要製薬会社17社に書簡を送付し(2025年8月6日記事参照)、追加関税措置の軽減と引き換えに、医薬品価格を他の先進国水準に連動させて引き下げるよう交渉してきた。これまでに16社と薬価のMFNで合意していたため(注4)、レジェネロンとの合意により、書簡を受け取った企業全てと合意したことになる。トランプ政権によると、特許医薬品市場の86%がMFN合意の対象となった。
ただ、薬価MFN合意には内容の透明性に対する疑念の声が上がっている。4月には民主党上院議員が、MFN合意の詳細および患者や納税者への費用削減効果の分析公表を義務付ける「医薬品取引開示法」案を提出した。また、1月には消費者保護団体「パブリック・シチズン」が、MFN合意に関する情報開示を求め、保健福祉省を相手に訴訟を起こしている。
メディケイドの薬価は大幅なリベートにより既に低水準にあるため、MFN合意による患者負担の軽減は限定的との見方もある。上院財政委員会のロン・ワイデン少数党筆頭理事(民主党、オレゴン州)が4月21日に公開したレポート
によると、TrumpRxに掲載されている医薬品は80品目にとどまり、米国で入手可能な医薬品の0.4%に過ぎない。さらに掲載品目の64%は、低価格のジェネリック医薬品が入手可能であるか、企業による消費者への直接割引販売などを通じて低価格で購入可能だという。
(注1)低所得者や妊婦、子ども、高齢者、障がい者を対象とする米国の公的医療保険制度。
(注2)トランプ政権が2026年2月に開始したオンラインプラットフォームで、消費者が保険を使用せずに支払う場合、特許医薬品をMFN価格で購入できる。
(注3)米国国民の健康優先事項に貢献する革新的な医薬品を対象に、審査期間を約1~2カ月に短縮することを目的とした試験的なプログラム。
(注4)16社は、ファイザー(2025年10月2日記事参照)、アストラゼネカ(2025年10月16日記事参照)、EMDセローノ
、イーライリリー、ノボノルディスク(2025年11月10日記事参照)アムジェン、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)、ベーリンガーインゲルハイム、ジェネンテック、ギリアド・サイエンシズ、グラクソ・スミスクライン(GSK)、メルク、ノバルティス、サノフィ(2025年12月23日記事参照)、ジョンソン・エンド・ジョンソン
、アッヴィ
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(大垣ジャスミン)
(米国)
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