米国の医薬品「最恵国待遇価格」設定政策、デンマークの製薬業界に影響大きく

(デンマーク、米国)

デュッセルドルフ発

2025年08月06日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月31日、米国内で医薬品価格の引き下げのために製薬会社が取るべき措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを示した書簡を送付したと発表した。

トランプ大統領は5月12日、「最恵国待遇の処方薬価格を米国の患者に提供する」と題する大統領令を発表し、製薬会社側に対して米国内で高価格帯での医薬品販売を是正し、最恵国待遇価格で販売するよう通知していた(2025年5月14日記事参照)。その後、トランプ政権と各国主要製薬会社との間で協議が進められてきたが、製薬業界側から十分な提案がなされなかったとし、今回の書簡発表となった。書簡には、製薬会社が取るべき具体的な措置を示しており、もし製薬会社が対応を拒否する場合、米国政府は価格引き下げに向けて断固たる措置を講じていくと記している。

この書簡は世界各国の主要製薬会社17社に送られ、その中にはデンマークに本社を置くノボ・ノルディスクも含まれている。

トランプ政権の発表を受け、翌8月1日のデンマーク株式市場で同社の株価は約5 %下落して取引を開始した。

ノボ・ノルディスクは同書簡発表前の7月29日、2025年の業績見通しを発表し、2025年の売り上げ成長率について、5月7日時点で予想していた13~21%から8~14%に下方修正するとしていた(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。その要因として、米国市場で肥満症の治療薬ウゴービ、糖尿病治療剤のオゼンピックの今後の売り上げ鈍化などを挙げている。この発表を受け、同社の株価の始値は翌日、前日比で20%下落していた。

また、ノボ・ノルディスクは業績見通しの発表に合わせて、最高経営責任者(CEO)の交代も発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。約8年半にわたってCEOを務めたラース・フルアーガード・ヨルゲンセン氏の後任として、8月7日付でマシアル・マイク・ドゥスター氏を新CEOに任命した。ドゥスター氏は、今後の成長戦略でのリーダーシップに加え、トランプ政権の書簡への対応も迫られるという荒波からの船出となる。

(安岡美佳)

(デンマーク、米国)

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