トランプ米大統領、232条に基づき医薬品に100%の追加関税、米国内で生産する企業などには例外措置

(米国、日本、韓国、EU、スイス、リヒテンシュタイン、英国)

ニューヨーク発

2026年04月03日

米国のドナルド・トランプ大統領は4月2日、1962年通商拡大法232条に基づき、特許医薬品などに対して100%の追加関税を課す大統領布告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同日、ファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも公開した。ただし、米国での工場建設計画を有する企業、既に米国と薬価について協定を結んでいる企業、日本など米国と医薬品関税に関して合意している国・地域に対しては、低い関税率を適用する。

232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすと商務長官が判断した場合に、追加関税などの措置を発動する権限を大統領に認めている。商務省は2025年4月に、232条に基づき、医薬品の輸入が米国の安全保障に及ぼす影響を判断するための調査を開始していた(2025年4月15日記事参照)。大統領布告では、商務長官が調査の結果、特許医薬品および関連する医薬品原料が、米国の軍事および民間医療にとって不可欠であると認定したことや、外国政府による市場介入が米国の特許医薬品産業の競争力を損ない、米国の海外生産への依存を深めたと判断したことなどを踏まえ、輸入を制限する措置が必要だと判断した。

大統領布告で示された主な措置は次のとおり。

  • 付属書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)Iに掲げる特許医薬品および関連する医薬品原料の輸入に、100%の追加関税を課す。ただし、一般関税率〔最恵国待遇(MFN)税率〕と232条関税率を合計して100%とする。一般関税率が100%を超える場合は、232条に基づく追加関税を課さない。
  • 追加関税措置は、付属書IIIに記載した企業の製品に対しては米国東部時間2026年7月31日午前0時1分以降の、そのほかの企業に対しては9月29日以降の通関に対して適用する。
  • 商務長官が承認した米国内での工場建設計画を有する企業の製品に対しては、追加関税率を2030年4月1日まで20%とする。同年4月2日以降、100%に引き上げる。商務長官は、米国内での工場建設計画を承認する際の基準を策定し、追って連邦官報に掲載する。
  • 日本(2025年7月28日記事参照)、EU(2025年9月25日記事参照)、韓国(2025年12月9日記事参照)、スイス・リヒテンシュタイン(2025年12月12日記事参照)の製品に対する追加関税率は15%とする(注)。英国製品に対する追加関税率は10%とし、その後、米国と英国との間で締結される医薬品価格に関する合意に応じてゼロに引き下げる(2025年12月9日記事参照)。
  • 本布告に基づき複数の追加関税率の対象となる場合、最も低い税率を適用する。
  • 付属書IIに記載している米国政府と薬価に関するMFN協定を締結している企業(2025年12月23日記事参照)の医薬品および関連する医薬品原料に対しては、2029年1月20日まで追加関税を課さない。
  • 米国原産の医薬品に対しては、232条に基づく追加関税を課さない。
  • 希少疾病用医薬品として指定されている医薬品および関連原料などに対しては、追加関税を課さない。
  • ジェネリック医薬品および関連原料は対象外とするが、商務長官は本布告の日付から1年以内に、ジェネリック医薬品および関連原料の輸入を制限するための措置が必要かどうかを大統領に報告しなければならない。

(注)一般関税率を含めて15%となる。一般関税率が15%を超える場合は、232条に基づく追加関税は課さない。

(赤平大寿)

(米国、日本、韓国、EU、スイス、リヒテンシュタイン、英国)

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