日米首脳会談実施、日米合意に基づく第2陣の投資プロジェクトを発表、重要鉱物でも協力強化

(米国、日本)

ニューヨーク発

2026年03月23日

日本の高市早苗首相と米国のドナルド・トランプ大統領は3月19日、首都ワシントンで会談した。日米合意に基づく第2陣の投資プロジェクトを発表したほか、重要鉱物のサプライチェーン強靭(きょうじん)化に関するアクションプランなどを発表した(注1)。両首脳による対面での会談は、2025年10月の東京での会談に続き(2025年10月29日記事参照)、2回目となる。

日米両政府が発表した、戦略的投資イニシアチブに基づく5,500億ドル規模の対米投資の第2陣プロジェクトは次のとおり(注2)。

  1. GEベルノバ日立によるテネシー州およびアラバマ州における小型モジュール炉(SMR)の建設(推定額:最大400億ドル)
  2. ペンシルベニア州における天然ガス発電施設の建設(最大170億ドル)
  3. テキサス州における天然ガス発電施設の建設(最大160億ドル)

共同声明では、これらのプロジェクトを選定した理由について、米国での先進的なSMRの商業化が安定した電力供給をもたらし、米国の電気料金の安定につながること、また、増大する電力需要を満たす上で天然ガス発電施設の拡大が重要なことなどを挙げている。なお、これらによって発電される電力は、近年需要が急増しているデータセンターへも供給される。

日米両政府はまた、「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」を発表した。両政府は今後、選定されたプロジェクトを中心に、重要鉱物輸入のためのプライス・フロア(最低価格)の策定などを議論する。日本の外務省が発表した「日米重要鉱物プロジェクト協力に関する共同ファクトシート」によれば、両政府が支援する具体的な案件には、米国企業のリエレメントによるレアアースリサイクルプロジェクトなど(注3)、13件が選定されている。米国は重要鉱物の公正な取引に向け、有志国間で最低価格を設定するメカニズムの創設に取り組んでおり、国務省は2月、日本を含む54カ国および欧州委員会が参加した重要鉱物閣僚会合を開催した。その後、米通商代表部(USTR)は、最低価格設定などに関してパブリックコメントの募集を開始した(2026年3月2日記事参照)。そのほか、日本の南鳥島周辺海域のレアアース泥プロジェクトおよびマンガン団塊プロジェクトなどを対象とした「深海鉱物資源開発に関する協力覚書」を締結した(注4)。

ホワイトハウスが発表したファクトシートでは、両政府は投資の安全保障に関して引き続き協力するとともに、日本が安全保障上のリスクに基づき対日投資を審査する仕組みを強化すると記した(注5)。また、米国の再産業化に対する日本の支援を歓迎するとして、米国は、多額の投資を行う一時的なビジネス渡航者、米国人労働者を訓練する、あるいは重要な技能、技術、ノウハウを移転する者のビザの発給を優先する、とも記した。ファクトシートではそのほか、人工知能(AI)を活用したイノベーション、高性能計算、量子技術に関する協力推進や安全保障面における協力強化についても確認した。

なお、対日関税率については、日本の外務省の「関税に係る日米間の合意の着実な実施をあらためて確認した」との発表はあったものの、米国側での言及はなかった(注6)。

(注1)両政府の公式発表は次のとおり。

(注2)第1弾は2月に発表された、人工ダイヤ製造プロジェクト(総額見込み:約6億ドル)、米国産原油の輸出インフラ・プロジェクト(約21億ドル)、AIデータセンターなどに電力を供給するガス火力プロジェクト(約333億ドル)。2026年2月18日記事参照

(注3)リエレメントに対しては、重要鉱物サプライチェーン強化を目的に米国政府から融資なども提供されている(2025年11月5日記事参照)。

(注4)トランプ政権2期目発足以降、日米両政府はこれまで、2025年10月に重要鉱物やレアアースの供給確保のための枠組みに署名し、2026年2月に重要鉱物サプライチェーン強化を目的とした共同声明をEUとともに発表している。

(注5)米国では、外国からの投資が安全保障に脅威をもたらすかどうかを審査する省庁横断の委員会である「対米外国投資委員会(CFIUS)」がある(2025年8月12日記事参照)。日本政府は3月17日、海外からの対日投資について、省庁横断で審査する体制強化などを盛り込んだ外為法の改正案を閣議決定しており、これを基に「日本版CFIUS」を創設する方針とされている。

(注6)2025年7月の日米合意では、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく対日相互関税を、一般関税率が15%未満の場合は一般関税率と相互関税を合計して15%、一般関税率が15%以上の場合は相互関税を課さないことで合意した。だが、2026年2月に連邦最高裁判所がIEEPAに基づく関税が無効と判断した。その後トランプ政権は、1974年通商法122条に基づき、原則全ての輸入に対して10%の輸入課徴金を課した。そのため、現状では原則、一般関税率に10%の課徴金が上乗せされる状態となっている(2026年3月10日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、日本)

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