日米両政府が対米投資第1陣を発表、人工ダイヤ製造、原油輸出インフラ、ガス火力の3プロジェクト

(日本、米国)

調査部米州課

2026年02月18日

日米両政府は2月18日(日本時間)、2025年7月の日米合意に基づく日本の5,500億ドル規模の対米投資の第1陣プロジェクトについて一致したと発表した。日本の経済産業省、外務省、財務省の同時発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、次の3件のプロジェクトを推進する。

  1. 日米両国ともに特定国への依存度の高い、自動車・航空・半導体の部素材の加工に使用する工業用の人工ダイヤの製造プロジェクト(総額見込み:約6億ドル)
  2. 世界全体のエネルギー需要の高まりを踏まえた、米国産原油の輸出インフラ・プロジェクト(約21億ドル)
  3. 人工知能(AI)データセンターなどに電力を供給するガス火力プロジェクト(約333億ドル)

日本政府は、これらのプロジェクトが重要鉱物、エネルギー、AIデータセンターといった経済安全保障上重要な戦略分野で日米が協力してサプライチェーンを作り上げるものとしている。また、日本企業にとって関連設備・機器の供給によるビジネス拡大が見込まれ、そのサプライチェーンで部品などを供給する中小企業の利益にもつながるとしている。発表の中では、各プロジェクトへの関与に関心を示している日本企業も記した。日米両政府は今後、各プロジェクトのさらなる詳細を調整し、早期かつ円滑な実施を目指す。

米国のドナルド・トランプ大統領も2月17日(米東部時間)、SNS投稿を通じて、第1陣プロジェクトにより日米合意が「始動した」と表明した。米国商務省が同日に発表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、プロジェクトの実施場所は人工ダイヤ製造がジョージア州、ガス火力がオハイオ州、原油輸出インフラがテキサス州およびメキシコ湾岸となる。ハワード・ラトニック商務長官は商務省のSNS投稿を通じて声明を発表し、3案件によって数千人規模の良質な雇用の創出を見込むとした。

日米両国は、2025年7月に、米国が日本に対する相互関税を15%に設定することや、日本が米国に5,500億ドル規模の投資を実行することなどで合意に達した(2025年7月24日記事参照)。対米投資に関しては、9月に対象分野、選定方法、利益配分を記載した了解覚書を発表したほか(2025年9月11日記事参照)、10月に両国が関心を有するとするプロジェクトのリストを発表していた(2025年10月29日記事参照)。2025年12月~2026年2月に両国は計5回の協議会(注)を開催したほか、直近では2月12日に赤澤亮生経済産業相が米国の首都ワシントンでラトニック長官と会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、今回の発表に向けた調整を行っていた。

なお、日米合意に関しては、了解覚書において、日本が合意を着実に実行する限り、米国は合意対象の日本産品に対する関税率を引き上げないことが記載されている。ワシントンの有識者は、投資プロジェクトの選定と推進を含む、合意内容の着実な実行が今後の日米経済関係の安定性を左右する重要事項と指摘している(2025年12月11日記事参照)。

(注)投資先は、米商務長官が議長を務める「投資委員会」の推薦に基づき、米国大統領が選定する。ただし投資委員会は、大統領への対象案件の推薦に先立ち、日米両国から指名される者で構成される協議委員会と協議することが定められている。協議委員会は、両国の関連する戦略的および法的な考慮事項について助言を提供するものとされている。協議委員会の会合はこれまでに、12月18日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます12月23日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます1月7日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます1月9日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2月10日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに開催されていた。

(葛西泰介、甲斐野裕之)

(日本、米国)

ビジネス短信 9ff3acc4a291dbd3