赤澤経産相がラトニック米商務長官と会談、122条関税で日米合意より不利とならない扱いを要請

(米国、日本)

調査部米州課

2026年03月10日

日本の赤澤亮生経済産業相は米国現地時間3月6日、米国のハワード・ラトニック商務長官と会談を実施した(経済産業省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

米国では、連邦最高裁が2月20日に国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税を無効と判断した(2026年2月24日記事参照)。これを受けて、トランプ政権は同日にIEEPA関税を停止するとともに、1974年通商法122条に基づく10%の関税を新たに導入すると発表した(2026年2月24日記事参照)。さらに、ドナルド・トランプ大統領は22日のSNS投稿で、関税率を10%から15%に引き上げる可能性を示唆していた(注)。

2025年7月の日米合意では、IEEPAに基づく米国の対日相互関税について、一般関税率が15%未満の場合は一般関税率と相互関税を合計して15%を上限とし、一般関税率が15%以上の場合は相互関税を課さないことで合意していた(2025年9月5日記事参照)。ただし、122条関税は一般関税率によらず一律で10%を上乗せする仕組みとなっている。米国の単純平均譲許税率は3.3%(2024年)のため、多くの品目では122条関税の10%が上乗せされても、日米合意下の15%を下回るとみられる。ただし、乳製品、農産品、繊維・衣服などの一般関税率が比較的高く設定される一部の品目では、関税率が15%を上回る可能性がある。

赤澤経産相とラトニック商務長官の会談は、IEEPAに関する最高裁判決後、2月23日の電話会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに続き2回目となる。今回の会談では、こうした状況を踏まえて、赤澤経産相は、122条関税措置に関して、日本の扱いが日米合意より不利になることがないようにすること、関税率の10%から15%への引き上げは日本を対象としないことを申し入れた。

なお、122条関税は、連邦議会が延長に同意しない限り150日後に失効する。このため、トランプ政権は150日の間に122条の代替措置を準備する可能性がある。実際に、米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表は、1974年通商法301条に基づく関税などの輸入調整措置の発動に向けた調査を開始する意向を表明している(2026年2月25日記事参照)。

今回の閣僚会談では、こうした動きも踏まえて、赤澤経産相は、301条に基づく措置についても、日本の扱いが日米合意より不利になることがないようにすることを申し入れた。

会談では、両閣僚は日米合意に基づく5,500億ドル規模の対米投資の枠組みに関しても議論し、案件組成に向けた連携を確認した。なお、日米政府は3月4日に、対米投資案件選定に関する協議委員会の会合を実施した(経産省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます外務省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。日米両政府は2月に対米投資の第1陣の3案件を発表しており(2026年2月18日記事参照)、続く第2陣の選定や発表に向けた調整を進めているものとみられる。

ジェトロでは閣僚会談や協議委員会の実施に関する米国政府の公式発表は確認できていない(日本時間3月10日午前時点)。なお、3月19日には、首都ワシントンで日本の高市早苗首相とトランプ氏の日米首脳会談が予定されている。

(注)ただし、実際に関税率の引き上げを指示する行政命令は発表されていない。米国シンクタンクの有識者は、122条関税を実際に15%に引き上げた場合に、日本など15%の相互関税で合意した国・地域の産品に対する関税率が、多くの品目で一般関税率と122条関税率の合計が15%を超えることになるため、引き上げを見送った可能性を指摘外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(葛西泰介)

(米国、日本)

ビジネス短信 eba8ab59aae3b5d9