欧州委、インドネシアとのCEPA交渉で最終合意と発表
(EU、インドネシア)
ブリュッセル発
2025年10月01日
欧州委員会は9月23日、インドネシアとの包括的経済連携協定(CEPA)の交渉に関し、最終合意したと発表した(プレスリリース、2025年9月30日記事参照)。EUとインドネシアは7月に政治合意に達しており(2025年7月22日記事参照)、今回の交渉妥結を受け、今後はEUとインドネシア双方が批准に向けた手続きに移るとみられる。EU側は、欧州委によるCEPA案の提案後に、EU理事会(閣僚理事会)の承認と欧州議会の同意が必要となる。
欧州委によると、CEPAの発効により、EUとインドネシアは品目ベースで98%以上、価値ベースでほぼ100%の関税を撤廃する。インドネシアが関税を撤廃する代表的なEU産品は次のとおり。
- 自動車(現行最大50%の関税の大部分を発効後5年間で撤廃)
- 機械・電子部品(関税の大部分を発効と同時に、残りも発効後5年間で撤廃)
- 化学品(関税の大部分を発効と同時に、残りも発効後5年間で撤廃)
- 医薬品(関税の大部分を発効と同時に、残りも発効後3年間で撤廃)
- 加工食品(現行最大30%の関税の多くを発効と同時に、一部は短期間で段階的に撤廃)
- 乳製品(現行最大10%の関税の大部分を発効と同時に撤廃)
- 食肉製品(現行最大20%の関税の大部分を発効と同時に撤廃)
また、EUも大部分のインドネシア産品に対する関税を完全に撤廃、あるいは大幅に削減する。このことから、インドネシアからEUへのパーム油や衣類、靴などの輸出拡大が予想される。
FTA締結急ぐEU、アジア諸国との交渉加速
EUは近年、対中や対米の関係など地政学的な不確実性が高まる中で、経済安保(2023年6月23日記事参照)の強化に向け、重要原材料などのサプライチェーンの多角化や自由貿易協定(FTA)などパートナーシップの締結を推進している。特に米国のトランプ政権による新たな関税措置の発表後は、メルコスールやメキシコとのFTAの批准手続きを進めるなど(2025年9月5日記事参照)、域外国との連携強化の動きをさらに加速させている。
こうした中で、EUはアジア諸国とのFTA締結にも積極的に取り組んでいる。シンガポールやベトナムとは既に締結済み、タイ(2025年7月8日記事参照)、マレーシア(2025年1月23日記事参照)、フィリピン(2023年6月7日記事参照)とは、早期妥結に向けて交渉を続けている。このほか、インドとも2025年内の妥結に向けFTA交渉を進めている。
(吉沼啓介)
(EU、インドネシア)
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