インドネシアとEU首脳がCEPA政治合意、9月までの妥結目指す
(インドネシア、EU)
ジャカルタ発
2025年07月22日
インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は7月13日、訪問先のベルギー・ブリュッセルで欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と会談した。両首脳は、インドネシアとEUの包括的経済連携協定(IEU-CEPA)が政治合意に達したと発表した(2025年7月13日付インドネシア外務省)。共同声明では、今回の政治合意について「2025年9月までの妥結に向けた、決定的な節目となる」とされた。
インドネシアとEUのCEPA交渉は2016年7月に開始され、約10年にわたり、合計19回の交渉会合を経て政治合意に至った。プラボウォ大統領は「インドネシアとEUという2つの世界的な勢力間の信頼と価値に基づいた、包括的な経済協力の象徴だ」と述べ、両地域は技術、エネルギー、食料、重要鉱物などの分野で相互補完的な関係にあるとした(2025年7月13日付インドネシア大統領府)。また、フォン・デア・ライエン委員長は、米国による関税措置などで、不確実性が高まる国際情勢を念頭に、インドネシアとEUは「長期的で予測可能なパートナーシップの重要性を強く発信する」と強調した。
インドネシアのアイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は、EUとの交渉について「以前は課題が山積していたが、世界の地政学的な状況が全てを変えた」と述べた。さらに、「協定発効から1~2年以内に、インドネシアからEUへの輸出品目のうち約80%の関税率が0%になる」と明らかにした。
インドネシア大学経済社会研究所(LPEM)に所属するグローバル・バリューチェーン・ビジネス環境研究所のモハマド・ディアン・レビンド所長は、今後、両地域間で交渉を妥結するためには、EUがパーム油を原料とするバイオ燃料の輸送用燃料への使用を制限している輸入規則など、非関税障壁の緩和が不可欠だと指摘した。そのうえで、「これらが改善されなければ、インドネシアがEU向け輸出を増やすのは容易ではない」と強調した(7月14日付「コンタン紙」)。
貿易統計データベースのグローバル・トレード・アトラスによると、2024年のインドネシアのEUへの輸出は約173億ドル、輸入は約128億ドルで、約45億ドルの黒字だった。インドネシアからの主な輸出品はパーム油・関連製品、銅鉱(精鉱を含む)で、EUからの主な輸入品は医薬品、乗用車、繊維加工用機械などだ。
(大滝泰史)
(インドネシア、EU)
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