マルコス大統領、EU・フィリピン自由貿易協定の交渉再開を後押しする意向

(フィリピン)

マニラ発

2023年06月07日

フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領は5月25日、EU・フィリピン自由貿易協定の締結に向けて、交渉再開を後押しすることに意欲を示した。フィリピンとEUは自由貿易協定(FTA)の締結に関して、2013年に予備交渉を始めた(政府通信社2023年5月25日付)。その後、2016年にベルギー・ブリュッセルで、2017年にフィリピン・セブで交渉が行われたが、以降6年間、交渉が中断している。

マルコス大統領は「EU・フィリピン自由貿易協定を通じて、長期にわたって有益な貿易関係を確立するための好機が今まさに訪れている」とコメントしたうえで、EU・フィリピン自由貿易協定の締結は、フィリピンとEUにとって互恵的だとした。その理由として、EU・フィリピン自由貿易協定は、相互の経済的な目標の達成に資することや、持続可能な開発や環境保護といったEUの中核的な理念、インド太平洋地域の国々と協力関係を構築するEUの戦略とも合致していることを挙げた。

なお、EUはフィリピンに対して一般特恵関税(GSP)の優遇制度(GSPプラス、注)を適用している。同制度において、フィリピンからEUへの輸出に対して、6,000超の品目の関税が撤廃されている。マルコス大統領は、現政権において、人々の生活の質を高めるさまざまな社会・経済目標の実現のための環境構築に尽力していることを強調した。そして、そうした取り組みが、フィリピンの貿易・投資先としての魅力を高めるとともに、EUが定めるGSPプラスの継続適用に向けた国際的な義務(持続可能な開発など)の順守へとつながるとした。

(注)GSPプラスとは、EUが開発途上国に提供している特恵関税制度の1つで、途上国の中でも持続可能な開発や人権保障などに関連する一連の国際条約を批准・準拠している国に対して付与される。フィリピンは受益国となっており、他の受益国と同様、現行のGSPプラスの枠組みでは2023年末までが適用期間となっている。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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