汎用人工知能のイベントAGIC深セン、約12万人が来場
(中国、日本)
広州発
2025年09月12日
汎用(はんよう)人工知能(AGI)をテーマにしたイベント「2025AGIC深セン(国際)汎用人工知能大会」が8月27~29日に、中国広東省深セン市の深セン国際会展中心(宝安)で開催された。このイベントはAGIの応用と実用化に焦点を当てたもので、ブース出展と専門フォーラムで構成されている。関連分野の企業1,001社が出展し、来場者数は延べ12万758人に達した。
来場者でにぎわう会場(ジェトロ撮影)
初日の開幕式では、中国政府関係機関や学術界の専門家によるスピーチやプレゼンテーションが行われた。日本からは全脳アーキテクチャ・イニシアティブの代表で、東京大学松尾・岩澤研究室の主幹研究員を務める山川宏氏が登壇し、われわれの努力次第で未来における人類と人工知能(AI)がうまく共存できるかが決まるとの見解を示し、人類が歴史的転換点に立っているとのメッセージを発信した。
8万平方メートルの展示スペースには「汎用人工知能」「スマートセンシング」「AI+応用シーン」「スマートデバイス」のエリアが設けられ、中でも人型ロボットの開発などを手掛ける優必選科技(UBTECH Robotics)は、世界初の自律的な電池交換が可能な人型ロボット「Walker S2」を展示して注目を集めた。日本からは、自動運転芝刈り機を開発するRobinX.aiが出展した。
大会期間中には43の専門フォーラムが開催され、「AI+ロボット」「エンボディドAI」(注)、「スマートデバイス」「AI投資」など多岐にわたるテーマで議論が交わされた。8月28日のフォーラムでは東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授が登壇し、日本の長寿経済とAIの応用事例を紹介した。
深セン市人工知能産業協会日本首席代表として、日本からの参加者のコーディネーターを務めた慶応義塾大学総合政策学部の華金玲訪問講師は「深セン市は『産業+AI』の領域で最先端の位置を占めている。日中間の産業・学術両面での交流がさらに進むことを期待しており、このイベントが深セン市の先進性を感じてもらうきっかけになればうれしい」とコメントした。
(注)物体を操作したり、人とコミュニケーションを取って物理的な作業を支援したりする、身体性を持つエージェントベースのAIシステム。
(小野好樹)
(中国、日本)
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