米232条鉄鋼・アルミ関税、約400品目の派生品を追加、8月18日から適用開始

(米国、日本)

ニューヨーク発

2025年08月19日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は8月15日、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品に対する50%の追加関税に関して、約400品目を適用対象に追加する官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開した。米国東部時間8月18日午前0時1分以降に通関した商品に適用する。

今回対象に追加された品目は、同官報の付属書1(Annex1)に米国関税分類番号(HTSコード)8~10桁で記載され、鉄鋼製品が392品目、アルミ製品が122品目にのぼる(注1)。そのうち、86品目は鉄鋼・アルミの両方で232条追加関税の対象になる(注2)。ブレーキホースやハブユニットなど自動車部品(8708.99.81)、エアコン部品(8415.90.80)、冷凍冷蔵庫(8418.10.00)など輸入額が大きい品目のほか、包装された医薬品(3004.90.92)やセミトレーラー用トラクター(8701.21.00)の一部品目も追加されるなど、鉄鋼・アルミ材を使用する幅広い派生品に対象が拡大した。

鉄鋼・アルミ製品に対する232条関税は、基本的に製品の輸入申告価格の全体に対して課されるが、派生品は原則、含有する鉄鋼・アルミ材の価格に対してのみ課される仕組みになっている。今回対象に追加された品目も、各製品が含有する鉄鋼・アルミ材の価格に応じて232条関税が課される。CBPの公表する鉄鋼・アルミ製品に対する232条関税のFAQ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(7月31日更新)によると、含有価格は一般的に、鉄鋼・アルミ材の買い手が売り手に支払ったインボイスに基づいて算出される(注3)。なお、相互関税などの対象となる場合、鉄鋼・アルミ材を除いた価格に対して、相互関税(日本の場合は15%)などが課される。

米国は、2018年3月に鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の232条関税の適用を開始した。追加関税率は2025年3月に一律25%に(2025年2月12日記事参照)、6月に一律50%に(2025年6月4日記事参照)、段階的に引き上げた。

また、232条関税の対象品目をこれまで複数回にわたり、鉄鋼・アルミ材を使用する派生品に拡大した(2025年4月7日記事2025年6月23日記事参照)。さらに、BISは米国企業からパブリックコメントを通じて、対象品目の追加の要請を受け付けるプロセスを設けた(2025年5月2日記事参照)。今回の対象品目の追加も、同プロセスを通じて2025年5月に受理した要請に基づく。BISは年3回(5月、9月、1月の1日から2週間)要請を受け付けるとしており、今後も同プロセスを通じて対象品目が拡大する可能性がある。

(注1)自社の製品が232条関税の対象に該当するかを確認するには、これまでの対象品目を含めて対象品目が網羅的にリスト化された米国税関・国境警備局(CBP)の8月15日付のガイダンス(鉄鋼外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますアルミ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の別添資料がわかりやすい。同別添資料では、これまでの対象品目のHTSコードに加えて、今回対象に追加された品目のHTSコードが太字で記載されている。

(注2)鉄鋼・アルミの両方の関税の対象となる品目については、含有する鉄鋼材料とアルミ材料の価格に対してそれぞれ50%の232条関税が課される。

(注3)含有価格は、合衆国法典第19編第1401条(a)に規定される関税評価協定の原則に従って決定される。合衆国法典第19編第1401条(a)では、輸入商品の価格は同条(b)に詳細が記載される取引価格(transaction value)を基準に算定されると記される。取引価格は、米国への輸出を目的に販売された際に、買い手が売り手に支払ったまたは支払う予定の価格の総額(直接的または間接的なものであり、輸出国から輸入国への商品の国際輸送に付随する輸送、保険、関連サービスのために発生した費用、料金、経費を除く)。

(葛西泰介)

(米国、日本)

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