米自動車部品関税でガイダンス、USMCA原産品は免除、商務省は鉄鋼・アルミ関税の対象品目追加プロセス設置
(米国、カナダ、メキシコ)
調査部米州課
2025年05月02日
米国税関・国境警備局(CBP)は5月1日、1962年通商拡大法232条に基づく自動車部品に対する追加関税に関するガイダンスを発表した。追加関税は4月3日付官報
で公示したとおり、米国東部時間5月3日午前0時1分に発動する(2025年4月3日記事参照)。
ガイダンスでは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則(ROO)を満たす自動車部品には追加関税が適用されないことが明記された。USMCAのROOを満たす自動車部品は、非米国産部品の価格に対してのみ追加関税を適用するプロセスが確立されたと商務長官が発表するまで、追加関税の対象外とすることになっていた。これまで商務省からそうした発表はなく、今回のCBPのガイダンスに基づくと、5月3日以降も当面は製品価格全体に追加関税が課されない可能性がある。自動車部品はメキシコからの輸入が最も多く、USMCA原産品への追加関税免除の恩恵は大きいとみられる(2025年4月22日記事参照)。
自動車・同部品に対する追加関税に関しては、ドナルド・トランプ大統領が4月29日、関税の軽減措置と他の追加関税との累積停止を発表している(2025年4月30日記事参照)。CBPは5月1日に累積停止措置に関するガイダンスも発表し、同措置に基づいて関税の払い戻しを申請するための手続きを5月16日までに官報で公示すると通知した(注1)。CBPは払い戻しを希望する輸入者に対し、官報公示後に申請を行うよう指示している。
米国商務省産業安全保障局(BIS)は4月30日、通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム派生品に対する追加関税に関し、対象品目の追加プロセスを設置する暫定最終規則(IFR)を発表した。5月2日付の官報で正式に公示する(注2)。トランプ氏は2月の鉄鋼・アルミ関税に関する大統領布告で、商務長官に同プロセスの創設を指示していた(2025年3月17日記事参照)。
追加プロセスは、米国内の鉄鋼・アルミ生産者などからの要請に基づき、追加関税の対象品目を増やす仕組みとなる。BISは年に3回、5、9、1月の1日から2週間、要請を受け付ける。初回の受け付けは2025年5月1日に開始した。申請者は、追加を要請する品目を米国関税分類番号(HTSコード)8または10桁ベースで指定する必要がある。追加要請に関わる利害関係者は14日間、パブリックコメントを提出できる。商務長官は要請を受理後、60日以内に追加するか否かを決定する(注3)。
(注1)累積停止措置は3月4日以降の輸入にさかのぼって適用されるため、累積して既に支払った分の関税は還付される。
(注2)BISはIFRに関し、パブリックコメントを45日間受け付ける。パブリックコメントは連邦政府ウェブサイトから提出可能(案件番号:BIS-2025-0023)。
(注3)追加要請に対するパブコメ提出と審査結果の公表は、連邦政府ウェブサイトを通じて行われ、追加品目については官報でも公示される。追加品目に対する追加関税の発効タイミングは「官報公示後まもなく」とされており、具体的には記載されていない。
(甲斐野裕之)
(米国、カナダ、メキシコ)
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