第3回サプライチェーン博、米企業数は前回より15%増加

(中国、米国)

北京発

2025年07月31日

第3回中国国際サプライチェーン促進博覧会(以下、サプライチェーン博)が7月16~20日、北京市の中国国際展覧中心で開催された(2025年7月24日記事参照、注1)。

主催者の中国国際貿易促進委員会(CCPIT)は、今回の博覧会の特徴として「より高いレベルの国際化が進み、サプライチェーンに関する論理がより明確化され、イノベーションによる産業推進の役割がより一層際立っている」との認識を示した。今回のサプライチェーン博では「世界をつなぎ、未来を共に創る」をテーマに、先進製造、スマートカー、グリーン農業、クリーンエネルギー、デジタル技術、健康生活の6つのエリアが設置された。CCPITによると、今回のサプライチェーン博には75カ国・地域から651の企業・団体が出展し、うち海外からの出展者が35%を占めた。また、米国からの出展者数は前回より15%増加した。

何立峰副首相(中国共産党中央政治局委員)は16日の開幕式で、「中国はグローバル産業チェーン・サプライチェーンの重要な一環として、安定的な運営のために行動することで、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの協力の深化と世界経済の回復を促進するために貢献してきた」と述べた。また、中国は分業協力、開放性・包容性を堅持し、グローバル産業チェーン・サプライチェーンにおける互恵関係構築のプロモーターとして、サプライチェーンのデジタル化、スマート化、グリーン化を促進すると強調した。

エヌビディアと中国米国商会が初出展

米国半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は開幕式で基調講演を行い、「中国のオープンソースAI(人工知能)は世界の進歩を推進する触媒であり、オープンソースがAIの安全を保障する鍵である」と評価した。また、「AIによる新たな産業革命は、中国の卓越したサプライチェーンのエコシステムに新たな成長のチャンスをもたらす」と述べた。なお、開幕式の前日、ファンCEOは中国向けAI半導体「H20」の販売を再開し、また中国市場に向けて斬新かつ互換性を備えるGPU(画像処理装置)を出す計画を表明した(注2、注3)(「央広網」7月16日)。

エヌビディアは今回、サプライチェーン博に初めて出展した。自社製品の応用に関する展示を行い、来場者の関心を集めた。

写真 エヌビディアの展示ブースの様子(ジェトロ撮影)

エヌビディアの展示ブースの様子(ジェトロ撮影)

エヌビディアのほか、中国米国商会も今回のサプライチェーン博に初出展した。また、米国企業ではテスラ、GEヘルスケア、アップル、クアルコム、HP、スターバックスなどが前回に続いて出展した。

(注1)第1回は2023年11月28日~12月2日(2023年12月18日記事参照)、第2回は2024年11月26~30日(2024年12月10日記事(1)(2)参照)に北京市で開催された。

(注2)中国商務部は7月18日の記者会見で、米政府が中国へAIチップを販売するエヌビディアの申請を許可したことに対しコメントを求められた際、「ロンドン合意(2025年6月13日記事参照)後、中国は法に基づいて要件を満たした管理品目の輸出申請を審査承認しており、米国は7月上旬に協議に係る中国への制限措置を撤廃した」と述べた。また、「米国はゼロサム思考を捨て、中国に対する一連の制限措置を解除すべきだ」としたうえ、「協力によるウィンウィン関係こそが中米関係の正しい道であり、抑制・制限措置には活路がない。米国側が中国側と同じ方向に向かい、平等な協議を通じて誤ったやり方を是正し、両国企業の互恵的な協力のために良好な環境を作り、共同で半導体グローバル産業チェーン・サプライチェーンチェーンの安定を維持することを望んでいる」と述べた。

(注3)ファンCEOは、中国市場はスケールが大きく活気があふれており、人工知能の発展がとても早くてポテンシャルが高いため、米国企業が中国市場に根付くことは極めて重要だ、とコメントした(「新華網」7月15日)。

(蔣春霞)

(中国、米国)

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