CCPIT、中国国際サプライチェーン促進博覧会で供給網安定確保に向けた5つの提案を発表
(中国)
北京発
2025年07月24日
第3回中国国際サプライチェーン促進博覧会が7月16日、北京市で開幕した。主催者の中国国際貿易促進委員会(CCPIT)は同日、博覧会内のイベントとして「2025グローバルサプライチェーン促進レポート」の報告会を開催した。
同レポートでは、グローバルサプライチェーン促進の現状について、物流、通信、金融分野におけるインフラの連結性が向上していること、WTOや地域貿易協定(RTA)においてグローバルサプライチェーンの包括的な発展が重視されていること、世界の主要国がサプライチェーンの強靭(きょうじん)化に向けた取り組みを強化していることが紹介された。また、拡張現実(AR)、生成AI(人工知能)、二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術などによるグローバルサプライチェーンのデジタルトランスフォーメーション(DX)・グリーントランスフォーメーション(GX)が進んでいること、金融包摂(注)が強化されていることが示された。
CCPIT研究院の趙萍院長は、促進指数、連結指数、イノベーション指数、レジリエンス指数といった指数で構成される「グローバルサプライチェーン指数マトリックス」を発表し、同マトリックスを用いて2018年から2024年までのグローバルサプライチェーンの変化を分析した結果を紹介した。分析によれば、不確実性と不安定性が増す中、グローバルサプライチェーンは効率化が進んでいるものの、各要素の影響を受け、レジリエンス指数が他の指数と比べて比較的低くなっていると指摘した。
同レポートでは、このような環境を踏まえ、安定的で円滑なサプライチェーンの確保に向けた対策として次の5項目を提案している。
- 効率的で相互に連結されたインフラネットワークの構築
- 開放的で包摂的な多国間・2国間ルールの堅持、対話と協議による貿易紛争の解決
- 「保護主義」や「内向き主義」的な思考の放棄、互恵・ウィンウィンとなるサプライチェーン促進策の策定
- より活力あるイノベーションを創出する環境の構築
- 包摂的で安全な金融サービス体系の整備
同レポートは2023年に開催された第1回中国国際サプライチェーン促進博覧会(2023年12月18日記事参照)に合わせて初めて発表され、今回は3回目の発表となる。なお、今回のレポートでは、ほかに、ドローン、ARグラス、人型ロボット、水力発電、大豆、ワインの6つの産業に関するグローバルサプライチェーンの状況が盛り込まれた。
「2025グローバルサプライチェーン促進レポート」報告会の様子(ジェトロ撮影)
(注)社会のあらゆる層(特に社会的弱者層や低所得者層)が必要とする適切な金融商品・サービスへのアクセスを公平で透明性のある方法で、手頃なコストで提供すること。
(張敏)
(中国)
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