トランプ米大統領、日本に対し8月1日から25%の追加関税を通告
(米国、日本、韓国、マレーシア、カザフスタン、チュニジア、南アフリカ共和国、ボスニア・ヘルツェゴビナ、インドネシア、バングラデシュ、セルビア、カンボジア、タイ、ラオス、ミャンマー)
ニューヨーク発
2025年07月08日
米国のドナルド・トランプ大統領は7月7日、相互関税の適用停止期限を8月1日まで延長する大統領令に署名した。また、日本の石破茂首相を含む14カ国の元首に対して、同日から追加関税を課す内容の書簡を送った(注1)。自身のSNSで明らかにした。
トランプ氏は4月に、原則として全ての国・地域からの全ての品目に一律10%の追加関税を課すベースライン関税と、米国の貿易赤字額などに応じて国・地域ごとに異なる追加関税率を設定する相互関税を発表した。だが発表直後に、中国以外に対して(注2)、7月9日まで相互関税の適用を停止した(2025年4月11日記事参照)。適用停止期限が迫る中、日本を含め、各国は米国との交渉を加速させていた(2025年6月30日記事参照)。
トランプ氏がSNSで公開した日本宛ての書簡によると、日本から輸入される全ての品目に8月1日から25%の追加関税を課す。ただし、この追加関税は、1962年通商拡大法232条に基づいて、鉄鋼・アルミニウム(2025年6月23日記事参照)や自動車・同部品(2025年6月26日記事参照)に課されている追加関税には上乗せされないという(注3)。また、今回の追加関税回避を目的に迂回輸出された製品に対しても適用されると記載している。対抗措置として日本が米国に対する関税率を引き上げた場合、米国は、25%の追加関税率をさらに引き上げるとした。
書簡では繰り返し、日本の関税・非関税障壁、貿易障壁により、公平でバランスの取れた貿易関係にないと指摘し、追加関税はこれら障壁を取り除くために必要な措置だと訴えた。また、不公平な貿易関係から、米国が巨額の貿易赤字を抱えているとし、貿易赤字は米国経済のみならず、安全保障上の脅威であると指摘した。その上で、日本が関税障壁などを取り除けば、25%の追加関税措置を改める可能性があるとした。
なお、追加関税率は、韓国、マレーシア、カザフスタン、チュニジアは日本と同じ25%だが、南アフリカ共和国、ボスニア・ヘルツェゴビナは30%、インドネシアは32%、バングラデシュとセルビアは35%、カンボジアとタイは36%、ラオスとミャンマーは40%に設定されている。4月に発表した相互関税率は、日本とマレーシアは24%、韓国は25%、カザフスタンは27%、南アは30%、ミャンマーは44%、ラオスは48%などと設定されていた。
書簡ではまた、「米国内で生産すれば関税はかからない」とも記載し、これまでの主張と同様に、対米投資を促した。ただし、日本の対米投資残高は2023年末に7,833億ドルで、2019年以降、5年続けて最も米国に投資している国となっているうえ(2024年9月6日付地域・分析レポート参照)、日本企業が創出する製造業の雇用数は52万9,200人、在米の日系企業による米国からの財輸出額は823億ドルで、いずれも国別で首位となっている(注4)。
(注1)米国東部時間午後5時時点。
(注2)中国とは別途2国間で協議し、8月12日まで相互関税の適用が停止されている(2025年6月13日記事参照)。
(注3)まだ追加関税の賦課といった輸入制限措置はとられていないものの、232条に基づき、半導体や重要鉱物など7つの分野に関する調査が行われている(2025年6月24日付地域・分析レポート参照)。
(注4)いずれも、米国の商務省経済分析局(BEA)発表の数値。
(赤平大寿)
(米国、日本、韓国、マレーシア、カザフスタン、チュニジア、南アフリカ共和国、ボスニア・ヘルツェゴビナ、インドネシア、バングラデシュ、セルビア、カンボジア、タイ、ラオス、ミャンマー)
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