ルビオ米国務長官、中国の王外相と初会談、ASEAN外相会合では関税に懸念

(米国、中国、ASEAN、日本、韓国)

ニューヨーク発

2025年07月14日

米国国務省は7月11日、マルコ・ルビオ長官が中国の王毅・中国共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)と会談したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ルビオ長官と王外相との対面での会談は初めてとなる。ルビオ長官はASEAN加盟国の外相との会議に参加するため、マレーシアを訪れていた。

国務省の発表によると、ルビオ長官は会談で、中国とのコミュニケーションのチャネル維持の重要性を強調した。また、両者は相違点を管理しつつも、協力できる可能性がある分野を探求することで合意した。ルビオ長官は2国間の問題について引き続き議論する必要性も強調した。米中首脳会談については、ルビオ長官が会談後、実現の可能性は「高いと考えている」と述べたという(ブルームバーグ7月11日)。

米国はトランプ政権1期目の2018年から、1974年通商法301条に基づいて中国原産品に追加関税を課しているほか(2025年6月3日記事参照)、トランプ政権2期目発足以降は、フェンタニルなどの違法合成麻薬の流入阻止を目的に、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく追加関税を課している(2025年3月4日記事参照)。相互関税率は一時125%まで引き上げられた。ルビオ長官は5月に、中国人留学生に対するビザを「積極的に取り消す」との声明を発表した(2025年6月2日記事参照)が、両国はその後、ジュネーブとロンドンで協議し、米国は相互関税率の引き下げや中国人留学生へのビザ発給審査の緩和、中国は米国への報復関税率の引き下げや磁石、希土類(レアアース)に対する輸出管理の緩和などで合意したとされる(2025年6月13日記事参照)。

ルビオ長官は、王外相との面談前日の7月10日、ASEAN外相との会議に参加外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同会議でルビオ長官は、インド太平洋地域は米国の外交政策の焦点と述べ、「世界全体の成長の3分の2がこの地域で起こっており、この地域を無視したり脇に追いやったりすることは不可能だ。われわれにそのような意図はない」「われわれは長年、この地域に関与してきた」「米国はASEANにコミットメントしているパートナーだ」として、ASEANのへ関与を継続する姿勢を示した。

一方で、米国の関税措置はASEANも対象としており、ドナルド・トランプ大統領は8月1日から追加関税を課すとの書簡を7月7日にマレーシア、インドネシア、カンボジア、タイ、ラオス、ミャンマーに(2025年7月8日記事参照)、9日にフィリピン、ブルネイに(2025年7月10日記事参照)それぞれ送っている。ルビオ長官はASEAN外相との会議で関税に対する懸念を伝えられたと明かしたものの、「結局のところ、これは貿易関係のバランス調整に関する問題だ。米国は各国との貿易関係に応じて異なる関税率を設定しており、交渉の余地は常にある。ベトナム(2025年7月3日記事参照)や英国(2025年6月18日記事参照)のように、今後、他の国々とも同様の調整が進むだろう」と述べた(米国通商専門誌「インサイドUSトレード」7月10日)。ただ、ベトナムとの合意については、詳細がまだ明らかにされておらず、トランプ氏が発表したベトナムへの20%の追加関税率にベトナム側は合意していないとの報道もある(政治専門紙「ポリティコ」7月10日)。

なお、ルビオ長官は11日に日本の岩屋毅外相、韓国の朴潤柱外交部第1次官とも会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、エネルギー、信頼性の高いデジタルインフラ、造船などのサプライチェーン強靭(きょうじん)化について議論した。

(赤平大寿)

(米国、中国、ASEAN、日本、韓国)

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