米USTR、301条対中追加関税の適用除外の有効期限を延長、2025年8月末まで

(米国、中国)

ニューヨーク発

2025年06月03日

米国通商代表部(USTR)は5月31日、1974年通商法301条に基づく対中追加関税(301条関税)の適用除外制度の有効期限を2025年8月31日まで延長すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国は2018年7月以降、301条に基づき、中国原産品に対して段階的に賦課を開始し、5月時点で1万品目以上に対して、7.5~100%の追加関税を賦課している。電子機器、医療機器、太陽電池製造装置などの一部品目に対しては、適用除外制度を設けていたが、有効期限が5月31日に迫っていた。期限を迎えれば、約400億ドル相当(2024年の米国の対中輸入額ベース)に7.5~25%の301条関税を新たに課す可能性があったが、今回の延長で回避された(2025年5月26日記事参照)。

USTRが近日公示する見込みの官報案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、有効期限を延長した適用除外の対象品目は次のとおり。

(1)電子機器、医療機器など164品目。対象品目のHTSコードは、2024年5月30日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの付属書C参照。

(2)太陽電池製造装置14品目。対象品目のHTSコードは、2024年9月18日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの付属書B参照。

このほか、事業者からの適用除外申請に基づいてUSTRが認定した品目に対する適用除外制度も設けていたが(2024年10月16日記事参照)、2025年3月31日に既に申請期限を迎えているほか、これまでにジェトロではUSTRによる対象認定の発表は確認できていないことから、事業者の申請に基づく適用除外制度は実質的な効力を持たないまま失効することとなるとみられる。

なお、米国は国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく30%の追加関税を中国原産品に対して課している(注1)。301条関税の適用除外の対象品目に対しても、基本的に最恵国待遇(MFN)税率に加えて、IEEPA関税率などが課されることになる(注2)。

(注1)違法薬物の流入防止を目的とした20%の追加関税と10%のベースライン関税。なお、34%の相互関税は2025年8月中旬まで90日間の適用停止中(2025年5月14日記事参照)。

(注2)ただし、10%のベースライン関税は、プリント基板〔米国関税分類番号(HTSコード)8473.30号〕などの一部品目には課されない(2025年4月14日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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