中国中部6省の省都が交通ハブ建設に関するイニシアチブを発表

(中国)

武漢発

2025年05月21日

中国中部地域(注1)6省の省都(武漢市、長沙市、鄭州市、南昌市、合肥市、太原市)が武漢市で5月12日、「中部地域省都交通運輸連携発展協力に関するイニシアチブ」(以下、イニシアチブ)を発表した。イニシアチブでは、各都市が協力して交通発展の新たな局面に取り組んでいくことを重要ミッションの1つとしたうえで、中部地域において国際的な交通ハブを建設していくことなどが長期計画として盛り込まれた。

2021年に発表された「国家総合立体交通網規画概要」(注2)において、武漢市と鄭州市は国際的な総合交通ハブ都市の建設を牽引すると定められていた。加えて、太原市、長沙市-株洲市-湘潭市、合肥市、南昌市-九江市、宜昌市、黄岡市-鄂州市-黄石市などの各都市が、全国的な総合交通ハブ都市の建設を担うと定められた。

こうした国家戦略の下で現在、中部地域における高速鉄道の総延長距離は全国の34.5%を占める。また、一般道路網の集中交通量は全国平均の2.5倍、民間航空を扱う空港の集中度は全国平均の1.4倍となっている。

イニシアチブでは、主に次のような点が具体例として言及された。

  • 高速鉄道のさらなる建設により、武漢市から太原市まで4時間で移動が可能となる。また、武漢市から南昌市までの移動時間は、1時間半以内に短縮される。
  • 合肥港は、武漢港および南昌港と連携して、「新三様(電気自動車、太陽電池、リチウムイオン電池)」や家電製品などの物流ニーズに対応していく。
  • 武漢市と長沙市は、運輸面における協力関係を強化する。中欧班列(注3)の運行も協力して行う。

武漢市は、イニシアチブの発表地として、中部地域における国際的な総合交通ハブ、および「陸海空」をつなぐ重要拠点の建設を積極的に進めるとした。実際に、2025年第1四半期における武漢駅発の中欧班列は210便、市内における高速道路の総延長距離は1,000キロを突破。また、港湾における貨物取扱量は3,471万トン(前年比9%増)を記録した。加えて、武漢天河国際空港の国際線は20便となり、貨物ハブ空港の鄂州花湖空港では8便の新貨物路線が開通した。

同イニシアチブを契機として、中国中部地域の交通ハブとしてのさらなる機能向上が期待される。

(注1)一般的に湖北省、湖南省、河南省、江西省、安徽省、山西省の6省を指す。

(注2)2021年に国務院によって発表され、全国の交通網を統合的に計画・整備するうえでの指針とされている。

(注3)中国と欧州や中央アジアなどの「一帯一路」沿線国を結ぶ国際貨物列車。

(西島和希)

(中国)

ビジネス短信 cd0480537c8adf8a