商務部、外資利用の現状や黒鉛の輸出管理動向などを解説

(中国)

北京発

2023年12月19日

中国商務部は12月14日の記者会見で、中国の外資利用の現状について紹介した。会見において、商務部報道官は、中国の外資利用額(実行ベース)は2023年に入ってから複合的な要因により若干変動しているものの、依然として歴史的に高い水準となっており、ハイテク産業向けの対中直接投資額の全体に占める比率は高まっていると指摘した。

商務部の発表によると、2023年1~10月の中国の外資利用額(実行ベース)は前年同期比9.4%減の9,870億1,000万元(約19兆7,402億円、1元=約20円)となった。うち、ハイテク製造業への投資は9.5%増となっており、医療機器・器具製造業、電子・通信設備製造業向けはそれぞれ34.6%増、14.8%増だった。また、投資元の国・地域別にみると、カナダ、英国、フランス、スイス、オランダによる投資はそれぞれ2.1倍、94.6%増、90.0%増、66.1%増、33.0%増だった。

商務部報道官は、2023年8月に発表された外資系企業誘致に向けた24項目の措置(2023年8月15日記事参照、注)に言及し、外資系企業からの建議に基づき、外国籍個人の補助・手当の個人所得税免除政策の延長(2023年8月30日記事参照)、外国資本の研究開発センターによる中国国産設備の調達に対する税還付政策の延長、6カ国の一般旅券所持者に対する訪中ビザ免除措置(2023年11月29日記事参照)の導入などの多数の措置をすでに講じているとした。

また、国外で市販されている医薬品の国内生産にかかる登録申請手続きの最適化やデータの越境移転の規範化・促進に向けた政策を策定中であることを明言したほか、今後は外資系企業からの要望に積極的に対応し、中国と外国との人員往来の円滑化のさらなる促進、外資誘致および外資に対するサービスの改善に取り組むとした。

黒鉛については規定を満たす一部の申請を承認済みと発表

このほか、商務部報道官は12月1日から実施されている一部の黒鉛品目に対する輸出管理措置(2023年10月26日記事参照)について、順次、関連企業からの申請を受け付けており、法令に基づく審査の上、規定を満たす若干の申請を承認したとし、今後も法令に基づき、企業からの申請を審査・決定していくとした。

(注)在中国日系企業などで構成する中国日本商会は、外資誘致に向けた24項目の措置について、「中国経済と日本企業2023年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2023年6月16日記事参照)で行った建議と方向性を一にするものが多く、今後、外資企業の声を聴きながら、実施細則として具体化され、着実に実施されれば、外資企業が中国経済にさらに貢献をしていく道を開くと信じており、歓迎したいとコメントしている(2023年8月18日記事参照)。

(張敏)

(中国)

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