中国、外資誘致へ24項目の措置、政府調達や標準策定で平等な扱い

(中国)

北京発

2023年08月15日

中国・国務院は8月13日、「外商投資環境のさらなる最適化と外商投資誘致の強化に関する意見」(国発〔2023〕11号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(文書は7月25日付)。各省・自治区・直轄市などに対して、外国人投資に関する環境改善や誘致強化を促すもの。

意見では、(1)外資誘致の質の向上、(2)外資系企業への内国民待遇の保障、(3)外国人投資保護の継続的強化、(4)投資運営円滑化レベルの向上、(5)財政・税制支援の強化、(6)外国人投資促進方法の改善の6分野について、24項目の措置が盛り込まれている(詳細は添付資料表参照)。

(1)では、誘致の重点として、外資系企業が研究開発拠点を設立し中国企業と共同で技術研究と産業化を行うことを支援し、重大な科学技術研究プロジェクトを担うことを奨励するとしている。また、バイオ・医薬分野について、中国外ですでに販売されている細胞・遺伝子治療薬の臨床試験を奨励する。

(2)では、「外資系企業の法に基づく政府調達への参加を保障する」として、「中国生産」の具体的な基準を明確にする政策を速やかに発表するともに、世界をリードする製品の研究開発を中国内で行うことを支援するとしている。また、外資系企業に対する差別的待遇を取り締まり、典型的事例を報告する。外資系企業が政府調達によって損害を受けた場合は、疑義や苦情を提起することができ、各レベルの財政部門は法律に基づきこれを受理し公平に処理しなければならないとしている。

また、「外資系企業の法に基づく標準策定業務への平等な参加を支援する」として、標準策定・改定の全プロセスにおける情報公開を促進し、外資系企業と中国企業が法律に基づいて標準化技術委員会や標準策定作業に平等に参加できるようにする(注1)。

(4)では、外資系企業の外国人幹部、技術者およびその家族の出入境や滞在・居住を円滑化するとしている。また、主要投資誘致対象国については、多国籍企業幹部のビザ申請の利便性を高めるとしている。

データ越境について、条件を満たした外資系企業には「優先レーン」を設け、データの自由な流動を促進するとしている。北京市、天津市、上海市、広東・香港・マカオ大湾区では、自由な流動を認めるデータリストの作成などを検討する。

中国の2023年1~6月の対内直接投資額(注2)は、前年同期比2.7%減の7,036億元(約14兆720億円、1元=約20円)にとどまっている。

(注1)在中国日系企業などで構成する中国日本商会の「中国経済と日本企業2023年白書」(2023年6月16日記事参照)では、政府調達や標準の策定などにおける外資系企業への公平な待遇は、建議の柱の1つとして実現を求めている。

(注2)商務部が発表する「実際使用外資金額」。国家外貨管理局が発表する、国際収支統計上の直接投資負債額とは異なる。

(河野円洋)

(中国)

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