米財務省と内国歳入庁、CHIPSプラス法の投資税額控除の規則案・暫定規則を公表

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月15日

米国財務省と内国歳入庁(IRS)は6月14日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)が定める半導体関連投資に対する先端製造投資税額控除の規則案を公表した(財務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますIRS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

2022年8月に成立したCHIPSプラス法は、米国内の半導体産業の振興を主眼とした法律で、先端半導体の製造工場などを新設または拡張する企業を支援するための予算を確保している。政府による資金援助の募集は2023年3月末から開始されている(2023年3月28日記事参照)。投資税額控除も支援策の1つで、原則として投資額の25%を連邦所得税に対するクレジットとして取得できる制度となっている。第1弾の規則案は3月に公表されており、今回はパブリックコメントも反映した第2弾という位置付けだ(2023年3月22日記事参照)。なお官報には、6月21日付で公示される予定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだ。

納税者は取得したクレジットの使途を複数の選択肢から選べる(elective payment election)ことになっているが、今回の規則案は、納税者が連邦所得税への「直接的な支払い」を選択する場合に焦点を当てた内容となっている。「直接的な支払い」を選択した場合、クレジットが実際に負担すべき連邦所得税額より大きければ、その超過分が政府から還付されることになる。したがって、巨額の投資を行う企業は、実質的な税還付を受けることができる仕組みだ。実際に政府からの資金援助よりも、税額控除の方が投資判断に大きく影響した企業もあるとされる。

規則案では、「直接的な支払い」を選択する場合、IRSのポータルサイトを通じた事前の登録を義務付けている。その事前登録手続きについては別途、6月21日付の官報での公示とともに有効となる暫定規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで定められる。納税者は当該会計年度の確定申告を行う前に、条件を満たす投資案件ごとに税額控除を申請し、IRSから登録番号を取得しなければならない。

財務省のリリー・バチェルダー次官補は、今回の公表について「明確な道理を確立することで、米国の半導体サプライチェーンを強化しようとする投資家が今後の製造業の振興に必要な『直接的な支払い』規定に関する見通しを確保し、ひいては米国の技術革新と雇用創出に対する信頼を向こう何年にもわたって構築できる」との声明を出した。なお、規則案については、8月14日までパブリックコメントを募集した上で、8月24日に公聴会を開催する予定だ。ただし、発言希望者がいない場合、公聴会は中止となる。

(磯部真一)

(米国)

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