ハリス米副大統領がアフリカ歴訪、経済や安全保障などあらゆる分野での協力・支援を表明

(アフリカ、米国、ガーナ、タンザニア、ザンビア)

中東アフリカ課

2023年04月05日

米国のカマラ・ハリス副大統領は3月26日~4月1日に、ガーナ、タンザニア、ザンビアの3カ国を訪問した。今回のハリス副大統領のアフリカ歴訪の約1週間前には、同国のアントニー・ブリンケン国務長官がエチオピアとニジェールを訪問していた(2023年3月23日記事参照)。

ハリス副大統領は、3月26日にガーナを訪問し、同国のナナ・アクフォ=アド大統領と会談。これまでのロシアによるウクライナ撤退を求める国連決議で、いずれもガーナが賛成票を投じている(2023年2月27日記事参照)ことを称賛し、同国が米国にとって重要なパートナーであることをあらためて確認した。また、ハリス副大統領は、ガーナの対外債務支払いの一時停止(デフォルト)(2022年12月21日記事参照)について、同国が持続的かつ包括的な成長に向けた経済改革を行っていることを歓迎した上で、1億3,900万ドルの支援を行う計画があると表明した。そのほか両者は、テロやクーデターが相次ぐサヘル地域における安全保障についても議論し、ハリス副大統領は1億ドル以上の資金援助などを通じ、安定化支援を行うことを計画があるとした。

ハリス副大統領は3月30日にタンザニアを訪問し、同国のサミア・スルフ大統領と会談した。ハリス副大統領は、タンザニアに対して5億6,000万ドルの援助を行う計画を表明した。また、インフラ、交通、デジタル技術、気候・エネルギー安全保障、電力などの分野における協力に係る米国輸出入銀行(EXIM)とタンザニア政府間のMOU(覚書)に触れ、「タンザニアへの民間投資を増やし、経済関係を強化する」とした。一方、タンザニアのスルフ大統領は、アフリカ成長機会法(AGOA)について触れ、「AGOAを通じてビジネスや貿易が発展している」として、2025年に終了する同法の2030年までの延長を要求した。

3月31日にザンビアを訪問したハリス副大統領は、同国のハカインデ・ヒチレマ大統領と会談し、同国の債務問題を中心に議論した。ザンビアは2020年11月に事実上のデフォルトに陥った(2020年11月18日記事参照)。ザンビア政府によると、同国の2021年末時点での債務残高は262.9億ドルにのぼり、GDP比で124%に及ぶ。2023年2月にジャネット・イエレン米国財務長官が訪問した際にも議題の中心となっていた(2023年2月9日記事参照)。ハリス副大統領は、ヒチレマ政権下で行われている経済改革(2022年10月13日記事参照)を歓迎した上で、今後は腐敗防止、ガバナンス改革、財務の透明性の確保に向け協力していく方針を示し、「すべての債権者に対してザンビアの債務削減を求める」と述べた。

(梶原大夢)

(アフリカ、米国、ガーナ、タンザニア、ザンビア)

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