2023年度の予算案を発表

(ザンビア)

ヨハネスブルク発

2022年10月13日

ザンビアのシトゥンベコ・ムソコトワネ財務・国家計画相は9月30日、2023年度(2023年1月1日~12月31日)の国家予算について議会で演説を行った。歳出案として1,673億クワチャ(約1兆5,392億円、1クワチャ=約9.2円)を提案し、2022年度予算(1,730億クワチャ)から微減となった。歳出のうち1,116億クワチャは国内歳入で賄い、17億クワチャはドナーの無償援助、540億クワチャは融資により調達する見込みだ。

演説の冒頭、前年9月に22.1%だったインフレ率を9.9%と1桁台まで押し下げたほか、通貨クワチャが対ドルで5.2%上昇したことや、貿易収支が16億ドルの黒字を達成したことなどを挙げ、経済の安定化に成功したことを強調した。

ムソコトワネ大臣は2023年度のマクロ経済目標として、GDP成長率を4.0%以上、インフレ率を6~8%、国内歳入をGDPの20.9%以上、財政赤字をGDPの7.7%以下、国内借り入れをGDPの3.0%以下にすることなどを掲げた。同氏は、これらの目標を達成するため、重要経済セクターの農業や観光、鉱業、製造業の投資促進に向けた方針や戦略についても具体的に説明した。例えば、外貨収入の7割以上を占める鉱業部門については、投資環境改善のために同産業の政策や税制の一貫性を保つとした。

2020年11月に債務不履行状態に陥ったザンビア(2020年11月18日記事参照)の対外債務は2,743億クワチャに及ぶが、2023年度予算の約29%に当たる487億クワチャ(うち国内債務は305億クワチャ、国外債務182億クワチャ)を債務返済に充てる予定だ。ムソコトワネ大臣は、債権者と債務再建の合意に至れば返済額は変動する可能性があるとして、演説で債権者に協力を訴えている。

なお、同大臣は、インバウンドの増加を目的として日本を含む10の国・地域(注)からの旅行者の観光ビザを免除する措置も発表した。この措置は10月1日午前0時から即時有効となった。

(注)日本以外には、英国、米国、カナダ、ノルウェー、オーストラリア、中国、韓国、EU諸国、中東湾岸諸国が含まれる。

(堀内千浪、高瀬かおり)

(ザンビア)

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