イエレン米財務長官がアフリカ訪問、さまざまな分野で協調する姿勢

(アフリカ、セネガル、ザンビア、南アフリカ共和国、米国、ロシア、中国)

中東アフリカ課

2023年02月09日

米国のジャネット・イエレン財務長官は120日から10日間にわたり、セネガル、ザンビア、南アフリカ共和国を訪問した。202212月に首都ワシントンで開催された米国・アフリカ首脳会議(2022年12月19日記事参照)のフォローアップとして訪れた各国では、気候変動や食糧安全保障、債務問題などについて協議した。アフリカの経済発展と互恵的な貿易・投資のために、米国は真に対等なパートナーとして、さまざまな分野で協力する姿勢を強調した。

最初に訪問したアフリカ連合(AU)議長国のセネガルでは、マッキー・サル大統領、バ財務・予算相、サール経済・計画・協力相と会談し、金融システムの強化や食糧安全保障、持続可能なインフラ開発などについて協議した。また、イエレン財務長官は120日の演説で、ロシアのウクライナ侵攻によってアフリカ経済は打撃を受けていることや、中国を名指しした上で、国際社会はアフリカに債務救済措置をとる必要があると言及した。

ザンビアでは2日間の訪問の間に、ハカインデ・ヒチレマ大統領、ムソコトワネ財務・国家計画相、中央銀行のデニー・カリャリャ総裁と会談を行い、債務問題や汚職と人権問題に向けた解決などが議題となった。イエレン財務長官は、ザンビアにとって債務再編は決定的に重要とし、さらに、ザンビアが約60億ドルの債務を負う中国は債務問題解決の障害になっていると発言した。これに対して、在ザンビア中国大使館が米国は他の主権国家の債務問題解決に向けた努力を妨害するべきでないと抗議した。

南ア訪問では、シリル・ラマポーザ大統領、マンタシェ・エネルギー鉱物資源相、ゴドングワナ財務相と会い、公正なエネルギー移行に対する米国の支援などについて協議した。123日にはロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が南アを訪れたばかり(2023年1月25日記事参照)。翌26日の演説でイエレン財務長官は、ロシアのウクライナに対する戦争はエネルギー価格を高騰させ、食糧難を深刻化させたと非難した。

(天神和泉)

(アフリカ、セネガル、ザンビア、南アフリカ共和国、米国、ロシア、中国)

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