ブリンケン米国務長官がエチオピアとニジェールを訪問、新たな各種人道支援を発表

(アフリカ、エチオピア、ニジェール、米国、ロシア)

中東アフリカ課

2023年03月23日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は3月14~17日に、エチオピアとニジェールを訪問した。ブリンケン長官のアフリカ訪問は2022年8月以来(2022年8月18日記事参照)。米国とアフリカについては、米国のジョー・バイデン大統領が2022年12月、アフリカ49カ国とアフリカ連合(AU)の代表を首都ワシントンに招き「米国・アフリカリーダーズサミット」を開催している(2022年12月19日記事参照)。その後、2023年1月にジャネット・イエレン財務長官がアフリカを訪問していた(2023年2月9日記事参照)。

3月15日にエチオピアを訪問したブリンケン長官は、同国のアビィ・アハメド首相と会談した。エチオピアでは2022年11月に、政府とティグライ人民解放戦線(TPLF)間の武力紛争が停戦合意している(2022年11月8日記事参照)。ブリンケン長官は、このことについて「大きな進展」と評価しつつ、3億3,100万ドルの新たな人道支援を発表した。そのほか、同長官は「医療、経済成長、教育、民主主義、食糧安全保障のために毎年数億ドルを投資し、エチオピアの経済発展を支援し続ける」と述べた。

ブリンケン長官はエチオピア訪問中、同国の首都アディスアベバのAU本部でムーサ・ファキ委員長と会談し、貿易・投資、食糧安全保障、民主的ガバナンスなどの課題で緊密に協力していくことで一致した。また、同長官は、米国とアフリカの関係を強化することの重要性を強調した上で、AUのG20入りにあらためて支持を表明した。

ブリンケン長官は3月16日にニジェールを訪問し、同国のモハメッド・バズム大統領やハスミ・マスドゥ外相と会談。同長官は、ニジェールなどサヘル地域の国々に対して1億5,000万ドルの新たな人道支援を発表した。サヘル地域では近年、イスラム過激派によるテロや軍事クーデターが相次いでいるが(2023年1月13日記事参照)、先日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領がアフリカに駐留する同国軍部隊の削減を発表していた(2023年3月14日記事参照)。同地域ではこうした中、ロシアの軍事的影響力が強まっているが、ブリンケン長官は、こうした傾向が「望ましい結果をもたらすことはない」と警告。その上で、ニジェールについて「レジリエンス、民主主義、協力のモデル」と称賛し、安全保障における協力のほか、農業など経済面においても協力関係を深化させていくとした。

なお、米国からは3月末に、カマラ・ハリス副大統領がガーナ、タンザニア、ザンビアを歴訪する予定となっている。

(梶原大夢)

(アフリカ、エチオピア、ニジェール、米国、ロシア)

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