1月の主な動きは米中閣僚会談、米国と同盟・パートナー諸国間の首脳会談、ジェトロ月例レポート(2023年1月)

(米国、中国、スイス、カナダ、日本、オランダ)

米州課

2023年02月20日

ジェトロは2月20日、米国の対中国関連政策についてまとめた2023年1月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

米中関係に関する1月の動きの中でも特に注目されるものとしては、1月18日にスイス・チューリヒで行われた米国のジャネット・イエレン財務長官と中国の劉鶴副首相の会談が挙げられる(2023年1月20日記事参照)。会談はジョー・バイデン大統領と習近平国家主席による2022年11月の首脳会談(2022年11月15日記事2022年11月16日記事参照)を受け、両国の意思疎通を深める取り組みの一環として行われた。財務省の声明によると、会談ではマクロ経済と金融情勢に関する意見交換を行い、それらの課題を巡る意思疎通の強化や持続可能な発展の重要性で一致した。また、2月上旬に想定(注)されていたアントニー・ブリンケン国務長官の中国訪問に向け、両国間の問題に関する忌憚(きたん)ないやり取りが行われたと推測される。

また、1月10日に米カナダ首脳会談、11日に日米安全保障協議委員会(日米2プラス2、2023年1月17日記事参照)、13日に日米首脳会談(2023年1月16日記事参照)、17日には米オランダ首脳会談が相次いで行われるなど、米国の同盟諸国やパートナー諸国との連帯強化に向けた動きが多くみられた点も特徴として挙げられる。特に日米首脳会談では、半導体などの重要・新興技術や宇宙、クリーンエネルギー、エネルギー安全保障を含む分野での経済安全保障での協力に注力することが確認されたほか、米オランダ首脳会談でも、両国の安全保障や経済繁栄のための、安全なサプライチェーンや基幹技術の重要性について話し合われたとされており、対中輸出管理の強化に向けた働きかけが積極的に行われている。

1月3日に開会した第118議会では、前年の中間選挙の結果を踏まえ、下院では共和党が多数派を占めているが、超党派での対中強硬姿勢については変わらず、10日には米中関係を調査するための下院特別委員会が創設された(2023年1月12日記事参照)。委員会は具体的な法案の提案や審議を行う権利はもたないものの、中国共産党の経済・技術・安全保障の進展状況や、米国と同党の戦略的競争に関する調査・政策提言を行う権利を有する。特別委員会の創設について、産業界は対外的には前向きに評価し、支持する意向をおおむね表明している一方、米国の安全保障に関係しない、米中間の経済・貿易の諸側面に悪影響が及ぶことを懸念する声も見受けられる。

そのほか、米国内の研究機関やシンクタンクが公表する各種報告では、多くが中国の影響力増大を脅威と受け止める論調の一方、中国の弱点や限界を指摘する調査結果もみられた。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(注)ブリンケン国務長官は2月5~6日に訪中を予定していたが、中国による偵察を目的としたと思われる気球が米国上空に侵入した問題を受け、2月3日に延期が発表された。

(滝本慎一郎)

(米国、中国、スイス、カナダ、日本、オランダ)

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