イエレン米財務長官が中国の劉副首相と会談、マクロ経済と金融を巡る課題に関して対話強化で合意

(米国、中国、スイス)

ニューヨーク発

2023年01月20日

米国のジャネット・イエレン財務長官は1月18日、スイス・チューリヒで中国の劉鶴副首相と会談した。イエレン財務長官は、アフリカ諸国訪問(2023年1月16日記事参照)に先立ち同地を訪れた。

米国財務省が会談後に発表した声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今回の会談は、ジョー・バイデン大統領と習近平国家主席による2022年11月の首脳会談を受け、両国の意思疎通を深める取り組みの一環として行われた(2022年11月15日記事2022年11月16日記事参照)。両首脳は同会談で、気候変動や国際的なマクロ経済の安定など国境を越える課題について、両国政府の担当高官によって建設的な努力を深めることで合意していた。イエレン財務長官は会談前の発言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米中両国が綿密に対話する重要性を強調し、「特に対話の欠如による誤解が、両国の経済・金融関係を不必要に悪化させないようにしなければならない」と述べた。

財務省の声明によると、イエレン財務長官と劉副首相は会談で「率直で実質的かつ建設的な対話」を行い、マクロ経済と金融情勢に関して意見交換を行った。両者は、それらの課題を巡る意思疎通をさらに強化することが、世界経済が機能するために重要との点で合意した。また、持続可能な発展の重要性で一致し、2国間および国連やG20、APECなどの多国間枠組みに基づいた気候変動に関わる金融支援、新興・途上国のクリーンエネルギーへの移行支援で協力を強化することで合意した。

財務省は声明で、イエレン財務長官が率直な意見交換の中で懸念課題を提起したとしているが、詳細は明らかにされていない。一方で、「イエレン財務長官は近い将来、中国を訪問し、米国で中国のカウンターパートを歓迎することを楽しみにしている」と記した。

米中間では2022年11月の首脳会談後、高官による対話が続いている。首脳会談直後には、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表がタイ・バンコクで王文濤商務部長(商務相)と会談した(2022年11月21日記事参照)。イエレン財務長官もインドネシア・バリ島で中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁と会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

11月の首脳会談で合意した、アントニー・ブリンケン国務長官の訪中を巡っては、国務省のネッド・プライス報道官が2023年1月18日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、詳細は未定としつつも2月に北京を訪問する見込みと明らかにした。政治専門紙「ポリティコ」(1月16日)は、同長官が2月5~6日に北京を訪れ、秦剛外交部長(外相)と会談するとの見通しを伝えている。

(甲斐野裕之)

(米国、中国、スイス)

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