日米首脳、日米同盟を基軸とした安保・経済面での協力強化で一致

(米国、日本)

ニューヨーク発

2023年01月16日

岸田文雄首相は1月13日、米国ワシントンのホワイトハウスでジョー・バイデン大統領と首脳会談を行った。安全保障や経済の諸課題で、日米同盟を基軸に一層協力を強化していくことで一致した。

首脳会談後に発表された共同声明〔外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日(仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))〕では、冒頭で中国や北朝鮮、ロシアなどがルールに基づく国際秩序に整合しない行動を取っていると指摘した上で、力または威圧による一方的な現状変更に強く反対すべく、日米は引き続き単独および共同での能力を強化し続けていくと強調した。その上でバイデン大統領は、日本が2022年12月に閣議決定した「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力装備計画」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づいて、防衛能力と外交努力を強化するとした日本のリーダーシップを称賛したとしている。両国は前日に開催した日米安全保障協議委員会(日米2プラス2)でも、世界の諸課題に対応するために日米同盟を継続的に強化することで一致している。

経済面では、日米がそれぞれ議長国を務めるG7広島サミット、APEC首脳会議の成功に向けて優先議題などについて意見交換を行った。また、「日米競争力・強靭(きょうじん)性(CoRe)パートナーシップ」(2021年4月19日記事参照)や「日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2)」(2022年8月1日記事参照)を通じて、半導体などの重要・新興技術や宇宙、クリーンエネルギー、エネルギー安全保障を含む分野での経済安全保障での協力に注力していくとした。半導体については米国が日本とオランダに、米国並みの輸出管理を導入するよう働きかけているとされ(2022年11月7日記事参照)、この点に関する具体的な言及はなかったが、岸田首相は2023年1月14日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「半導体についても、経済安全保障の考え方に基づいて、米国をはじめとする同盟国あるいは同志国と緊密に意思疎通を図りながら、取り扱いを考えていかなければならない。こうした考え方に基づいて、日本として責任をもって、取り扱いを考えていきたい」と述べた。多国間での取り組みでは、米国が主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を中心として、サプライチェーンや気候危機、デジタル貿易などの課題に対処するとした。そのほか、日本と米国、オーストラリア、インドから成るクアッド(QUAD)、ASEANへの支援、韓国を含めた日米韓3カ国の協力、「ブルーパシフィックにおけるパートナー(PBP)」(2022年9月26日記事参照)などを通じて、インド太平洋のみならず世界の利益のために協力するとした。

バイデン大統領は、ツイッターを通じて「岸田首相と両国、インド太平洋そして世界の平和と安全、繁栄を推進するための協力について議論できたことをうれしく思う」「日米同盟への投資は安全保障から経済の諸課題に至るまで莫大(ばくだい)な配当を生み出している。今後、何年もそうあり続けるだろう」との声明を出した。米連邦議会下院の日米部会は、首脳会談を受けて「これからも超党派で日米同盟および、日本が議長を務めるG7サミットでの優先事項を支援していく」と両国関係の強化を支持する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。

(磯部真一)

(米国、日本)

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