習国家主席がバイデン大統領と会談、対話合意も台湾問題で強く牽制

(中国、米国、台湾、ウクライナ、北朝鮮)

北京発

2022年11月16日

中国の習近平国家主席は11月14日、インドネシア・バリ島で米国のジョー・バイデン大統領と会談した(注1)。

習国家主席は、中米関係の現状は両国の利益にならず、国際社会の期待にもかなわないとした。その上で、中米関係を健全で安定した発展の軌道に戻すことは世界の利益になるとし、両国は文化、社会制度、発展への道筋などが異なるため今後も食い違いや対立はあるが、関係発展の障害とすべきでないとした。

また、貿易戦争、科学技術戦争やデカップリングの推進は、自他いずれにとっても損失だとし、経済・貿易や科学技術についての交流を政治問題化、武器化することにも反対した。同時に、中米の共通の利益は増加しており、気候変動や世界各地で起こる問題への対応には両国の協力が必要とし、関係改善の重要性を伝えた。

習国家主席はウクライナ問題については、(1)衝突には勝者はいない、(2)複雑な問題の解決は容易ではない、(3)大国間の対立は避けるべきという観点を示し、米国、NATO、EUもロシアと対話するよう希望した(注2)。

また、台湾問題は中国の核心的利益の中の核心であり「中米関係で越えてはならない1番のレッドラインだ」とし、米国に「台湾独立を支持しない」などの同意事項を守るよう求めた。

中国側の発表では、会談での合意事項として(1)双方の外交団が戦略的対話を続け、継続的協議を行う、(2)財政・金融チームによるマクロ経済政策、経済・貿易についての対話・協調を行う、(3)COP27(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)の成功に向け共同で努力する、(4)公共衛生、農業および食糧安全保障対話を行う、(5)中米共同チームが具体的な問題解決を推進する、(6)各分野での人材交流の拡大を奨励する、といった内容が挙げられている。

中国側は王毅外交部長(外相)らが同席した(注3)。王外相は終了後の記者対応で、会談は予定時間を超過し同時通訳で3時間以上にわたり、建設的で戦略的な交流となったとした。また、米国側がアントニー・ブリンケン国務長官の訪中と会談後のフォローアップを希望し、中国側も同意したと述べた(注4)。

11月15日の環球時報は、今回の会談は世界の緊張を緩和し、中米関係の歴史において重要な位置を占めると評価した。その上で、会談は米国の申し出によるもので、かつ米国側が中国側を訪問して行われたことに言及し、関係改善を求めているのは米国であることを強調した。

(注1)米国側の反応は2022年11月15日記事参照

(注2)王外相によれば、習国家主席は核兵器の使用には反対したとしている。また、北朝鮮の核問題については、朝鮮半島問題の原因を直視し、北朝鮮側の合理的な懸念と各自の懸念をバランスよく解決すべきと述べた、としている。

(注3)外交部の発表では、王外相のほか、丁薛祥共産党政治局常務委員、何立峰国家発展改革委員会主任らが同席したとされている。

(注4)習国家主席は台湾問題については「平和的統一、一国二制度」を堅持するが、「反国家分裂法」にある3つの重大な事態(「台湾独立勢力」が台湾が中国から分裂した事実をつくり出した場合、台湾の中国からの分裂をもたらす重大な事変が発生した場合、平和統一の可能性が完全に失われた場合)が生じた場合は、法律に基づいて行動すると述べた、としている。

(河野円洋)

(中国、米国、台湾、ウクライナ、北朝鮮)

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