カナダのEV変速機スタートアップのインモーティブ、スズキと共同開発契約を締結

(カナダ、日本)

トロント発

2023年01月11日

カナダの電気自動車(EV)変速機のスタートアップ、インモーティブ(本社:オンタリオ州トロント)は1月10日、スズキと共同開発契約を締結したと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。将来的なスズキのEV向け2段変速機「インギア」を開発する。

同社によると、「インギア」はEV専用に設計された世界で最も効率の高い2段変速で、コンパクトでシンプルな設計によりEVの航続距離を最大15%伸ばし、加速を最大15%向上させることが可能という。また、トルク、加速、登板能力、最高速度性能の向上に寄与する設計で18件の特許を取得し、17件の特許を出願している。

同社のポール・ボッテロ最高経営責任者(CEO)は「スズキとの提携は、コスト、航続距離、性能、効率の改善など、2段階変速のインギアがEVにもたらす価値を実証するものだ。スズキの将来の車両向けに当社の技術を共同開発することは、商業化に向けた大きな一歩であり、安価なゼロエミッションモビリティへの進化を加速させるという当社のビジョンを実現する」と述べた。

同社では2022年9月に、自動車部品製造の日進製作所(本社:京都府京丹後市)と「インギア」の日本における営業活動を協働で行うことで業務提携を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)し、当時、複数の自動車メーカーと開発段階に入っており、2026年までの発売を予定していると説明していた。

カナダでは、政府がゼロエミッション車(ZEV、注)の普及を後押ししており(2022年12月22日記事参照)、各企業によるEVやEVに関連する製品の生産計画が明らかになっている。2022年12月にはゼネラルモーターズ(GM)がカナダ初の本格的EV生産工場の稼働を発表したほか(2022年12月7日記事参照)、10月にはパナソニックエナジーがカナダの黒鉛製造企業ヌーボー・モンド・グラファイト(NMG)とEV電池負極材料供給で覚書を締結(2022年10月26日記事参照)、テスラも「先端工場」設立許可に向けて政府へのロビー活動を活発化していることが8月に明らかになった(2022年8月16日記事参照)。このほか、EV電池材料製造のユミコアが生産拠点の建設予定を発表し(2022年7月22日記事参照)、ステランティス(2022年5月10日記事参照)、ホンダ(2022年3月17日記事参照)もEV生産に向けた投資を発表している。

(注)カナダ政府はZEVについて、バッテリー式電気自動車(BEV)、燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)と定義している。PHEVは必要に応じて化石燃料の使用を維持しつつ、ある程度の電力使用を可能にするため、(充電インフラが普及の過渡期にある)カナダの北部や遠隔地コミュニティーで重要な役割を果たすと想定されている。

(飯田洋子)

(カナダ、日本)

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