カナダ政府、2026年までに新車販売台数の2割をZEVとする規則案公表

(カナダ)

トロント発

2022年12月22日

カナダ政府のスティーブン・ギルボ環境・気候変動相は12月21日、新車の乗用車、スポーツ用多目的車(SUV)、ピックアップトラックのメーカーと輸入者に対して、ゼロ・エミッション車(ZEV、注)の販売台数目標を設定する規則案を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2026年までに国内で販売される新車の20%以上、2030年までに60%以上、2035年までに100%をZEVとすることを義務付ける。

カナダ統計局によると、カナダの小型ZEVの新規登録台数シェアは、2019年に2.9%、2020年に3.5%、2021年に5.2%となり、台数は8万5,000台となった。2022年上半期のシェアは7.2%に拡大しており、政府は新たな販売目標を課すことでさらにシェア拡大を後押ししたい考えだ。

カナダでは、ケベック州やブリティッシュ・コロンビア州で既に新車販売台数に対するZEVの販売目標を導入している。環境・気候変動省によると、こうした州では販売目標の規則導入と支援投資を組み合わせることで、クリーンな自動車やトラックへの移行が加速することが明らかになっており、このことにより民間企業は充電施設への投資の将来性を確かなものと捉えることができるという。カナダが今回の規則案を導入すれば、EU、英国などに並ぶ事例となる。

さらに、政府は国内の電気自動車(EV)普及に向けて、2027年までに全土で約8万5,000基の充電ステーションを設置することや、これまでのZEV購入・リース補助金制度の継続、EV製造に向けて歴史的な投資を行っていること(2022年10月24日付地域・分析レポート参照)も発表した。

ギルボ大臣は「ZEVは、ガソリン価格高騰の影響を免れ、環境保護への貢献を望むコスト意識の高いカナダ人にとって、まさに渡りに船といえる存在だ。カナダは、自動車部品製造や自動車組み立てに対する深い知見があり、バッテリーに必要な重要鉱物が全て自給可能な国でもある。世界が求める車の製造のリーダーとなるのに十分な立場にある」と述べた。

同規則案は12月31日にカナダ官報へ掲載後、75日間のパブリックコメント募集を経て、2023年に最終規則が公布される見込みとなっている。

(注)カナダ政府はZEVについて、バッテリー式電気自動車(BEV)、燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)と定義している。PHEVは必要に応じて化石燃料の使用を維持しつつ、ある程度の電力使用を可能にするため、(充電インフラが普及の過渡期にある)カナダの北部や遠隔地コミュニティーで重要な役割を果たすと想定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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