ステランティス、EV生産へ36億カナダ・ドルを投資、連邦・州政府も一部拠出

(カナダ、オランダ)

トロント発

2022年05月10日

ステランティス(本社:オランダ・アムステルダム)は5月2日、電気自動車(EV)生産に向けカナダ・オンタリオ州の2工場へ36億カナダ・ドル(約3,636億円、Cドル、1Cドル=約101円)を投じるとともに、自動車研究開発センターの拡張を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は、自動車の電動化やソフトウエア開発に向けて、2025年までに全世界で450億Cドルの投資を行う長期戦略を掲げており、今回の発表はその一環となる。

カナダ・オンタリオ州の同社ウィンザー工場およびブランプトン工場をEV生産に柔軟に対応可能な組立施設に転換するほか、北米での同社研究開発事業の中核として、既存施設を拡張するかたちでEVとEV用電池技術に特化した研究開発センターを建設するという。

また、同社の発表に合わせ、カナダ連邦政府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは5億2,900万Cドル、オンタリオ州政府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも最大5億1,300万Cドルの拠出を発表した。

記者会見で、ステランティス・ノース・アメリカのマーク・スチュワート最高執行責任者(COO)は「今回の投資は当社のカナダへの長期的なコミットを再確認するもので、革新的でクリーン、安全かつ手頃な価格のモビリティを求める顧客の要望に応えるゼロ・エミッション車の製造に向けて前進するための重要な一歩だ」と述べた。同社のオンタリオ州への投資額は、2022年3月に発表されたステランティスと韓国のLGエナジーソリューションの合弁電池工場分と合わせると、86億Cドルに拡大するという。

会見に同席したジャスティン・トルドー首相も「われわれは、次世代に引き継がれる世界トップクラスのカナダの自動車産業、革新的な経済、そしてクリーンで力強い未来を、全ての人のために築いている。これこそ健全な環境と健全な経済の姿だ」とコメントした。

カナダでは、EV生産に向けた投資が相次いでいる。前述のステランティスとLGエナジーソリューションの合弁電池工場建設に加え、ホンダもハイブリッド電気自動車生産の工場再編を発表した(2022年3月17日記事参照)。さらに、ゼネラルモーターズ(GM)も韓国のポスコ・ケミカルと共同でのEV用電池材料の生産工場建設を発表後、EV生産に向けて2工場の再編を発表している(2022年4月6日記事参照)。

(飯田洋子)

(カナダ、オランダ)

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